きらぼし中国ビジネスQ&A

第 129 回「経済補償金の計算方法について」

<質問>
私は上海にある商社現法の総経理を務めています。2009年に設立しましたが、厳しい業況が続いており、会社の清算も視野に入れております。そこで、清算の際にかかる大きな費用の一つである「経済補償金」の計算方法について簡単に教えていただけますでしょうか?

 

<回答>
会社の清算により中国事業から撤退する場合、会社側の都合により従業員との労働契約を解消する必要が生じることから、各従業員に対して経済補償金を支払う義務が生じます。今回はこの経済補償金の計算方法についてご説明します。中国の法令上、経済補償金 = 直近12ヶ月の平均月額賃金(※1)× 勤続年数(※2)と定められております。
(※1)
    ·  平均月額賃金には「賞与・各種手当・個人所得税・社会保険の個人負担分」が含まれます。残業代を含むか否かについては、地域によって見解が異なりますので注意が必要です。上海市においては、過去の判例上「残業代は通常の労働時間と見なされないため経済補償金の計算根拠には含まれない」と解釈されています。(参考 <上海高院民事法律适用問答>等)

  ·  賃金上限は当該地域の平均賃金の3倍とされています。
(※2)
  ·   勤務年数は、6ヶ月以上1年未満は「1年」、6ヶ月未満は「半年」で計算します。
  ·  平均月額賃金が当該地域の社会平均月額賃金の3倍を超える場合は上限を12年とします。(月額給与が3倍の金額を超えていない場合は、支給年数の上限はありません。)
<注意点>
  ·  上記の計算方法は、法定上の最低限支払うべき経済補償金の金額です。企業によっては、撤退をスムーズに行うため、また従業員への慰労の意を込めて上記の法定金額に上乗せして(月額給与+1、2ヶ月等)経済補償金を支給するケースもあります。
  ·  上記は2008年1月1日以降の現行法での計算方法となり、2008年より前に入社した従業員の場合は、現行法施行までの勤務期間(~2007年末)は旧法に基づいた計算が必要です。なお、旧法は、勤続年数1年未満でも1年と計算し、また勤務年数の上限12年の有無は状況により異なりますので、留意が必要です。
<関連法規:労働契約法第47条、労働契約法実施条例第27条>

 

綺羅商務諮詢(上海)有限公司 佐藤

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