きらぼし中国ビジネスQ&A

第 123 回「人事制度に関連する労働問題について」

<質問>
私は中国に生産現法を有する総経理です。最近、日本本社の人事制度が、業績評価によっては職位の引き下げ等もあり得る人事制度に変わったため中国現法の人事制度も変更を検討しております。そこで、最近の事例とともに注意すべき点についてご教示いただけますでしょうか?

 

<回答>
最近、中国では、各従業員の業績評価によって末席の従業員を淘汰する「末位淘汰制(中国語)」を導入する企業もあるようです。このような制度の導入と労務問題との関係について、①労働法や②2021年第2期「最高人民法院公報」に選ばれた判例を踏まえ、注意点についてご説明します。

①労働法に職務調整に関する直接的な条文はありませんが、労働契約法第40条に「労働者が業務不適任であり、研修又は勤務部署の調整を経てもなお業務不適任である場合には、使用者は労働契約を解除できる」と明記されています。従って、使用者は「当該従業員は業務不適任である」と説明可能な場合には、他の業務を手配することができると考えられます。
②当該判例は、導入されている末位淘汰制(判例の会社は、業績評価の上、下位10位の従業員を降格する規定有)に基づき、職位降格・給与減額された従業員が裁判を起こした事例です。
この判決では、最終的に「当社は、当社商品の品質向上等のためより優秀な従業員を当該職位に充て、また各従業員の業務への積極性を引き出すために末位淘汰制を導入しているため合理性があり支持できる点、労働契約書上に職位調整があることが明記されている点、また職位調整後に当該従業員からすぐに異議が出なかったので職位調整を認めたと見なされる点」等を踏まえ、今回のような末位淘汰制に基づく職位降格・給与調整等は、法律規定及び規則制度に抵触しない限り、全く違法ではないという意見を明確にしました。
上記①、②を参考にしますと、職位降格・給与減額もあり得るような末位淘汰制を導入する際には、会社の経営面から見た当該制度の必要性や、職位降格・給与調整を実施する際の合理性、また法律には抵触しないといった合法性、更には労働契約や就業規則への明記や事前の周知が必要である点等に注意しなければなりません。実際に導入する際には、貴社の業種等の状況も踏まえた弁護士等の専門家の意見も参考にされることを推奨いたします。

 

綺羅商務諮詢(上海)有限公司 佐藤

绮罗商务咨询(上海)有限公司 XFCSS .ALL Rights Reserved 沪ICP备18032119号-1
Copyright Kiraboshi Business Consulting Shanghai Co.,Ltd ALL Rights Reserved

沪公网安备 31010102005043号