きらぼし中国ビジネスQ&A

第 121 回「上海市浦東新区で適用される法律の制定について」

<質問>
先日、「上海市の浦東新区地区のみで適用される法律の制定が可能となった」という話を耳にしました。この話の内容について、中国の法体系も交えて教えてください。

 

<回答>
2021年6月10日に「上海市人民代表大会に浦東新区法規の制定を授権することに関する決定」(中文HPリンク)が可決・施行されました。
これは、上海市の人民代表大会(上海市の地方国家権力機関)が、「浦東新区の法規を制定し、浦東新区で実施することを許可」するものです。
現時点(6月18日)で、新たに公布された浦東新区の法規はありません。今後は浦東新区の高水準な改革開放等を目的として、浦東新区の企業のみが享受できる外商投資の緩和政策や税制優遇等の法規の制定が想定されます。
次に、中国法の体系・概要を簡潔にご説明します。下記表(一部省略)をご参考ください。

法の種類の優先順位は上記表の順番となり、最上段の「法律」はどの法規・規章よりも優先されます。例えば、上海市人民代表大会にて、ある法律を執行するために上海市の状況に合わせて「地方性法規」を定めることができますが、法律や行政法規、部門規章に抵触する場合には、上位の法令が優先されます。上記の法体系を踏まえて「浦東新区法規」の大きな二点の特徴をご説明します。
① 今回の「浦東新区法規」は上記表の「地方性法規」に該当しますが、通常の地方性法規とは少し異なり、「法律等の原則に抵触しない限り臨機応変に制定できる」とされています。
② 現在法律で定められていない内容でも、「浦東新区法規」として先行して制定することが可能です。
以上より、浦東新区内の企業にとって魅力的な法規が今後制定されることと思料されます。今後の新たな法規の公布に注目したいですね。

 

綺羅商務諮詢(上海)有限公司 佐藤

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