きらぼし中国ビジネスQ&A

第 118 回「中国における定年退職の仕組みについて」

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<質問>
私は上海市内にある日系企業の総経理を務めています。まもなく定年を迎える従業員がおりますが、その従業員には定年後も弊社で働き続けてほしいと考えております。そこで、中国における定年に関する一般事項や、定年後の雇用方法・留意点についてご教示いただけますでしょうか?
 

<回答>
本稿では、①定年退職年齢、②退職日の明確化、③定年後の雇用方法等についてご説明します。

①定年退職年齢について
中国における定年退職年齢は、男性は満60歳、女性は満50歳(幹部の場合は満55歳)と定められております(その他、病気・障害の場合は男性50歳、女性45歳等の別途規定有)。
※参考「国家規定に違反した従業員の早期退職に関する問題の制止と是正に関する通知 第1条」
なお、上海市では、女性の定年退職年齢の判定における「幹部か否か」の定義は定められておらず、自社で決定することができます。仮に50歳を超えた女性従業員の雇用を延長したい場合は、当該従業員が50歳を迎える前に、必要書類を揃えた上で各区の社会保険センターへ申請を行う必要があります。事前に社会保険センターに必要な書類を問い合わせ、その内容や指導に合わせて労働契約書の文言等の調整(幹部であるという記載等)を行うことを推奨いたします。

②定年退職日について
原則、定年退職日は誕生日の当日となり、この日に労働契約書は自動的に終了します。
実務上では「従業員の誕生月の月末を労働終了日とする」と就業規則上に明記した上で、誕生日月の月末を退職日として運用している企業が多く見受けられます。

③定年年齢に達した従業員との雇用関係について
従業員が定年退職年齢に達した(養老金を受給した)時点で、企業との労働契約は自動的に終了し、労働関係が終了します。
定年後も引き続き雇用する場合は、「労働契約」ではなく「労務契約」を締結する形が一般的です。この場合の適用法律は「労働法」ではなく「契約法」となるため、契約内容は当事者間の協議で取り決めます。また、企業は社会保険料及び経済補償金を支払う法的な義務はありません。但し、従業員の健康及び職場の安全状況などを考慮(リスク軽減のため)して、商業保険(健康保険・医療保険・労災保険など)に加入する企業もあります。
現在、中国においても高齢化が急速に進んでいることから、定年退職年齢の引き上げが予定されておりますが、現時点では具体的な引き上げ策は発表されておりません。
直近では、「第14次5か年計画(2021~2025年)と2035年までの長期目標概要」の第45章第3節にて「法定の定年退職年齢を少しずつ引き上げ(例:政策実施後、毎年数ヵ月ずつ或いは数ヵ月毎に1ヵ月ずつ引き上げる形等)、またフレキシブルに選択できる方法で実施する」という旨が発表されています。
中国に現地法人を設立して十数年経過する日系企業様が多いことから、「まもなく定年年齢に達する従業員が一定数いる」という企業様も多いことと思われます。上記でご説明しました定年退職年齢の引き上げ制度が開始される前に、今一度、評価制度や給与体系を含め、労務関連規定(就業規則や給与規定等)の見直しを行うことを検討されてみてはいかがでしょうか。
 

綺羅商務諮詢(上海)有限公司 佐藤

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