きらぼし中国ビジネスQ&A

第 117 回「2021年上海市政府活動報告について」

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<質問>
先日、中国関連のニュースで「上海市の政府活動報告」が発表されたという記事を目にしました。2021年の当該報告の内容をご教示いただけますでしょうか?

<回答>

2021年1月24~27日に上海市人民代表大会が開かれ、「政府活動報告(中文:政府工作报告)」が発表されました。当報告には、2020年の発展の成果や総括、2021年の経済・社会発展の計画が記載されています。本稿では、当該内容の生活に関わる面を中心に一部抜粋してご説明します。

2020年の成果について

上海市における2020年のGDP成長率は1.7%、住民一人当たりの可処分所得は4%増加。生活に関わる具体的成果の内容として、①コロナ対策、②消費促進活動等が挙げられています。
①については、総合病院の発熱診療室やPCR検査機関の設置の強化、コロナの発生源を早急に突きとめる体制を整えている点、そして健康コード(14日以内の行動記録の確認を赤・黄・緑の三色で判別できるQRコード)が継続的に更新され、現在も商業施設やオフィス等の公共施設への入場の際には提示が必要で(緑が表示されれば入場可)、既に20.8億回使用されている点が挙げられています。
②については、消費刺激策の一環として、5月初旬の大型連休から6月にかけて販促イベント「五五購物節(ショッピングデー)」や「六六夜生活節(ナイトフェスティバル)」を開催し、クーポン券の配布や割引セールを実施。ナイトフェスティバルでは、バーや深夜食堂、書店などでイベントを行う等180のイベントを開催し、博物館や美術館の夜間営業の実施、また金・土の地下鉄の運行時間の延長(0時まで)を実施した点が挙げられています。

 

 

 

 

 

 

 

2021年の主要任務
2021年の主要目標数値として、上海市のGDP成長率6%以上、また住民一人当たりの可処分所得は経済成長率と歩調を合わせる等の内容が挙げられております。
また、「重点9分野」として、デジタル化の推進、感染症予防の常態化、人々の生活品質を向上させるための公共サービスの均衡化、文化事業の発展等が挙げられています。
公共サービスの均衡化の中では、①「総合高齢者サービスセンター:50か所新設」、②「公立託児所:50か所新設」等が挙げられています。

 

①「総合高齢者サービスセンター」とは、
現在の上海市での介護形態の割合は「70%が在宅介護、20%が社区(地域コミュニティ)介護、10%が養老施設での介護」です。公立の養老施設数が少なく施設に入ることが困難であることから、「70%の在宅介護+20%の社区介護」の方々の暮らしをよりよくするために「総合高齢者サービスセンター」の新設を掲げています。当該センターでは、医療やリハビリ、食事やお風呂等の生活サービス、また娯楽施設等を好きな時に利用することができる体制を整えています。
また、最近ではスマート化を取り入れる動きが加速しており、スマートベッド(体の状況や起床頻度の感知等)や自動宅配ロボット、またスマートセルフ健康診断機器を導入している施設があります。このセルフ健康診断で異常が発見された場合は、サービスセンターのスタッフがオンライン医療の問診を手配してくれることから、とても便利な仕組みとなっています。

 

②「託児所」とは、
中国では夫婦共働きの世帯が多く、一般的には日中に子供の面倒を見ることが難しいため、比較的良心的な価格で子供を預けることができる託児所(中文:普惠性托育点)の設置が課題となっています。(※ここでいう託児所は、3歳以下の子供を預ける場所を言います。)
上海における公立託児所(普惠性托育点)の費用は、月額約3,000元/人(≒48,000円/1元=16円)以下で、営利性託児所の場合は公立の倍以上の費用となります。

上記以外にも、現住地の戸籍を持たない者でも入居可能な低家賃住宅が少ないことから5.3万戸の低家賃住宅の建設等も挙げられています。この住宅は、優秀な人材等には家賃の優遇政策が用意されています。上海での生活が益々便利になることを期待したいですね。  

 

以上
綺羅商務諮詢(上海)有限公司 佐藤

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