きらぼし中国ビジネスQ&A

第 116 回「中国におけるDXの取組みについて」

このレポートはすべてお読み頂いて3分15秒です。


<質問>
コロナ禍で全世界的にDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取組みが加速しております。中国でのDXの事例などについてご教示いただけますでしょうか?

<回答>

コロナウイルスにより、DXの普及は数年早まったとも言われていますね。本稿では、中国におけるDXの位置付けや事例についてご説明いたします。
上海市では、2021年1月4日に「上海の都市のDXの全面的な推進に関する意見」を公布しました。2025年までに「経済・生活・統治」のDXを全面的に推進し、2035年には世界的な影響力を持つ国際デジタル化の都市となることを掲げています。これにより、生活面ではオンライン医療の更なる発展や宅配ボックスの拡充、無人配送、電気自転車・自動車の充電施設の増加等が期待されます。

また、フードデリバリーが発展している中国において、コロナ以降は「無接触配送」という言葉が普及し、配達員が顧客まで直接届ける機会が減りました。現在、オフィスビル等ではロビーに設置された商品棚に置く形が一般的で、商品の取り違えも発生しています。このため、今後は「スマートフードデリバリー保管ボックス」の設置が「標準化」されるかもしれません。この仕組みですが、配達員が商品をボックスに入れると顧客に通知され、自動で保温・消毒を開始します。顧客はQRコードや認証番号を入力すると受取ることができます。配送員にとっても顧客との連絡の手間や移動が省けるので効率的です。

 

 

 

次に、「零售通リンショウトン(アリババの小規模小売店向け統合型プラットフォーム)」についてご説明します。中国の1、2線級都市(北京・上海、大連・厦門市等)では、コンビニやスーパーが急速に拡大しておりますが、3線級以下の都市では家族経営の小規模小売店舗数は依然多く、市民にとって必要不可欠な存在となっています。
一方、小規模小売店は、仕入・販売、経営管理、資金面等で運営が厳しいことから、これを「零售通」の導入で解決しようという仕組みです。
導入後は、主に①仕入チャネル・商品ラインナップ、②物流、③店舗運営、④金融面の改善を図ることができます。具体的には、
① 通常複数の代理商からの仕入を「零售通」プラットフォームを利用し一本化、また人気商品の仕入も可能となり、多様な顧客ニーズに対応できます。また、アリババの各アプリ(地図、フードデリバリー、ネットショッピング等)のデータから、店舗毎に的確な商品仕入の提案をしてくれるので、その情報を参考に商品ラインナップを検討することができます。

② アリババの物流会社「菜鸟ツァイニャオに専門部隊があり、ビックデータによって配達日の正確な予測が可能なことから「遅滞保証サービス」を提供しており、店主への安心に繋げています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

③ POSサービスを利用することで、売上・商品の在庫管理をアナログで行う必要がなくなります。
④ 少額融資、一部前金等での注文、また信用情報が良好な場合は買掛支払等の金融サービスを受けることができます。
この「零售通」は既に150万店舗の小規模小売店(全国の約25%)で導入されており、小規模小売店舗におけるDX化の推進役となっています。
(※参考:2020年9月 中国商務部流通産業促進中心「中国オフライン小売商店のDX報告」)。

 

今後更なるDX化の推進により、既に便利だと感じる中国での生活がどのように変化していくのか注目していきたいですね。

綺羅商務諮詢(上海)有限公司 佐藤

绮罗商务咨询(上海)有限公司 XFCSS .ALL Rights Reserved 沪ICP备18032119号-1
Copyright Kiraboshi Business Consulting Shanghai Co.,Ltd ALL Rights Reserved

沪公网安备 31010102005043号