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＜質問＞
私はコロナ以前、上海の現地法人に月1回程度出張しておりましたが、今年の1月以降渡航できておりません。現在、中国のコロナ発生状況は落ち着き「通常の生活に戻っている」と聞いておりますが、現在の上海の街の様子はどうなっているのでしょうか？ご教示いただきたいです。

＜回答＞
出張ができない環境下での勤務、お疲れ様です。筆者である私も1月末から9月末まで日本に滞在し、ようやく上海に渡航できました。久々に戻った筆者の目線で春節前と比較し変化があった点も踏まえて上海の街の様子をご紹介します。
上海市内のコロナウイルス感染者ですが、3月3日以降、上海市内で生活している方の感染確認はありません。
人出に関して、10月初旬の中国の大型連休である国慶節休暇（8連休）の際、「上海市の150以上の観光地で延べ860万人（前年比4％増）を受け入れた（上海市文化観光局／※1）」との発表があり、観光地は多くの人で賑っていました。ちなみに、外でマスクを着用している人は2～3割程度の印象です。




 

·感染防止対策

人出が多くて大丈夫なのだろうか？と感じられたことと思いますが、観光地や公共施設、政府機関への入場の際は、事前予約や体温の計測、健康コード（14日以内の行動記録の確認を赤・黄・緑の三色で判別できるQRコード／原則、緑が表示されなければ入場不可）の提示を行う等の感染防止対策を講じております。








室外でマスクを着用している人は少ないですが、地下鉄を利用する際はマスクの着用が必須です。現在では、地下鉄駅構内の自動販売機でマスクを販売しています（3枚6元（≒95円））。ちなみに、日本と異なり布マスクを着用している人はほとんど見かけません。ネット上で500枚100元（≒1,570円）と破格の値段で購入することができる点が大きな理由のようです。また、マラソン大会の参加や博覧会の入場にPCR検査の陰性証明の提示を求めるケースがあります。PCR検査は、アプリ等で予約を行い、1回120元（≒1,890円）で誰でも受けることができます。




 

·朝食プロジェクト

上海市では今年の8月に「朝食プロジェクト（※2）」を提唱、朝食の提供を「より便利に・より豊かに・より健康に市民へ提供する」という理念のもと、改革が進められています。
中国では、主に通勤者は朝食を外で食べる習慣がありますが、「通勤途中に良い店がない」、「列に並び受け取るまでに時間がかかり不便」といった状況がありました。これを改善すべく、移動車販売や出前サービスの充実、また地下鉄や商業ビル、工業団地で「ネット予約カウンター」を設置し、移動中の全ての人により良い朝食を提供することを奨励しています。





本プロジェクトが提唱された8月同月には、アリババグループ傘下の「盒馬鮮生」が朝食店「盒小馬」を6店舗オープン。事前にアプリ上で注文・購入すると、店舗の保温商品ボックス内に商品が保管され、店に到着後QRコードをかざすとすぐに受け取ることができる仕込みです。販売商品はサンドイッチや肉まん、ワンタン、コーヒー等約40種類。2020年度内には約80店舗の新規オープンを予定しています。本プロジェクトの推進により、便利な朝食の提供とともに新たな雇用やビジネスチャンスが生まれることを期待したいですね。

筆者が日本へ一時帰国する直前の2020年1月末は、公園の入り口はロープで封鎖され、外を歩く人はほとんどいない状況でしたが、現在では公園での集団ダンスも復活しており、春節前の状況に戻っています。また、見たことのないおしゃれな店舗がオープンしていたりと、やはり変化のスピードが速い中国には変わりありません。今後、中国がどのように更なる経済成長を遂げていくのか注視していきたいと思います。


※1：＜上海市文化観光局HP＞
http://whlyj.sh.gov.cn/cysc/20201010/77503e5601b346a480b658fbe86be398.html
※2：＜上海市人民政府HP／上海市朝食プロジェクトの更なる推進に関する意見＞
http://www.shanghai.gov.cn/nw12344/20200813/0001-12344_65461.html

·1元≒15.7円で計算
·10月20日時点の情報に基づき執筆

以上
綺羅商務諮詢（上海）有限公司　佐藤