きらぼし中国ビジネスQ&A

第 112 回「年次有給休暇の買取制度について」

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<質問>
私は上海市にある現地法人の総経理を務めています。中国では「有給休暇の買取義務」があると聞きました。本件に関する概要をご教示いただきたいです。

<回答>

中国における有給休暇ですが、「使用者が有給休暇を手配し、その上で労働者に未消化の有給休暇があった場合、使用者のペナルティとして買取義務が発生する」という考え方となります。
買取義務の概要ですが、使用者が業務上の都合により有給休暇を手配できず、有給休暇の未取得があった場合、当該従業員1日あたり賃金の300%に相当する金額を支払わなければなりません(従業員年次有給休暇条例第5条)。上記下線部の1日あたり賃金の300%の計算方法ですが、1ヶ月あたり賃金(直近12カ月の平均賃金で、時間外労働は含まれません)を21.75で割った金額となります(企業従業員年次有給休暇実施弁法第11条)。なお、使用者が有給休暇を手配したのにも関わらず、労働者本人の都合により書面で取得しない旨を申し出た場合は、買取義務は免除されます。
ここで、中国の法定有給休暇の日数について簡単にご説明します。下記表をご参照ください。  中国では勤務年数に応じて有給休暇の付与日数が異なりますが、この勤務年数は、現在務めている会社単位での勤務年数ではなく、以前の勤務先も含む累計の勤務年数に基づく点にご注意ください。

基本的には、12月末までの年度内に取得するものであり、年度を繰り越して取得することはできません。(ただし、労働者の同意があれば、翌年度に限り繰り越しが可能です。)
その他、日系企業におかれましては、日本本社に合わせて中国の法定有給休暇以上の有給休暇を定めているケースがあると思います。この有給休暇の買取義務は、法定休暇以上の有給休暇については買取の義務を負う必要はありません。従いまして、従業員とのトラブル回避のためにも、就業規則上で「法定以上の有給休暇に関しては、買取義務を負わない」等、各社での取扱いを明確にしておく必要がある点にご注意ください。

<参考>
従業員年次有給休暇条例:http://www.gov.cn/ziliao/flfg/2007-12/16/content_835527.htm
企業従業員年次有給休暇実施弁法:http://www.gov.cn/wszb/zhibo276/content_1131581.htm

 

以上
綺羅商務諮詢(上海)有限公司 佐藤

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