きらぼし中国ビジネスQ&A

第 107 回「外資企業における借入金額の制限について」

このレポートはすべてお読み頂いて2分10秒です。

<質問>
私は上海の現地法人で総経理をしております。昨今の新型コロナウイルスの影響により国外からの受注が減少しており、今後の見通しがつきません。そこで、万が一のため手元資金を確保するべく資金調達を検討しております。資金調達の方法はいくつかあると思いますが、そもそも弊社のような外資企業において「借入金額の制限」はあるのでしょうか?

<回答>
まず始めに、主な資金調達の方法ですが、①中国国内銀行からの借入、②中国国外銀行からの借入(オフショアローン)、③海外の親会社からの借入(親子ローン)、④増資等が挙げられます。この中でも、②・③の「中国国外から借入をする場合」は、借入金額の制限がありますので注意が必要です。
次に、借入金額の制限の考え方ですが、①投注差管理(総投資額と資本金の差額)と、②純資産管理(前年度監査報告書の純資産の2.5倍以内)の2種類があり、外資企業はどちらかを選択することができます。ただし、選択後の変更は原則できません。また、②の純資産管理は、仮に純資産がマイナスとなってしまった場合、追加での中国国外からの借入はできなくなります。
今回は、多くのお客様が選択している「①投注差管理」についてご説明します。会社設立時には、「総投資額」と「資本金」のどちらも設定する必要があり、総投資額は、資本金額との間で決められた比率(※次項【図2】参照)を守る必要があります。左記【図1】の例においては、資本金が30万ドルの会社ですので、 ・総投資額=30万ドル÷70%=42万ドル、 ・投注差=42万ドル-30万ドル=12万ドル よって、借入金額の制限は12万ドルとなります。
また、このとき気を付けるべきポイントが「借入枠の管理方法」です。借入期間や通貨によって、借入金額の制限(=借入枠)の管理方法に違いがあります。こちらは、①残高管理(返済後、借入枠が復活する)と、②累計発生額管理(返済後も借入枠は復活しない)の2種類があり、外貨建による短期借入(1年以内)の場合は①残高管理に該当するので、返済すれば借入枠は復活します。それ以外の外貨建の中長期借入や全ての人民元借入は②累計発生額管理に該当し、返済しても借入枠が戻らないので注意が必要です。この考え方は、地域によって見解が異なる場合がございますので、事前に確認されることをおすすめします。
冒頭における調達方法の中で挙げた親子ローンや増資ですが、「親子間なので、すぐに日本から中国に送金すれば資金が利用できる」というものではなく、外貨管理局での手続きや、場合によっては銀行での口座開設が必要となり、1か月以上の期間を要するとお考え下さい。中々見通しがつきにくい状況ですが、資金調達にはある程度の期間を要することを念頭に置いて計画されることをおすすめします。

 

以上
綺羅商務諮詢(上海)有限公司 佐藤

绮罗商务咨询(上海)有限公司 XFCSS .ALL Rights Reserved 沪ICP备18032119号-1
Copyright Kiraboshi Business Consulting Shanghai Co.,Ltd ALL Rights Reserved

沪公网安备 31010102005043号