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<質問>
2020年に初めての海外勤務として、日本に家族を残し単身で上海現地法人に赴任いたしました。日本出国前に人事部担当から「中国入国後、在留届を出すように」と言われたのですが、どこに何を提出すれば良いのかわかりません。在留届とはどういうものでしょうか? また提出しないと何か問題がありますでしょうか?
<回答>
初めての海外勤務お疲れ様です。赴任当初は業務内、業務外にかかわらずやらなければならないことが多岐にわたり大変ですよね。
さて在留届ですが、こちらは海外であなたが滞在する地を管轄する大使館・総領事館(以下、大使館等)にする提出する必要があります。
日本の旅券法第16条では、外国に住所または居所を定めて3ヶ月以上滞在する日本人に、その住所や居所を管轄する大使館等へ在留届の提出を義務づけています。滞在地が中国・上海市であれば管轄は在上海日本国総領事館になります。
在留届は外務省が海外にいる日本人の実態を把握したり、海外で日本人が巻き込まれることが危惧される災害・事件・事故等の発生時に大使館等が在留邦人の安否を確認したり、メール等により迅速な情報提供を行う際に欠かせない情報になります。また海外在留邦人が在外選挙人名簿登録申請等の領事サービスを受ける場合にも利用されます。在留届を提出しないと、外務省や大使館等があなたの海外滞在の事実を把握することができず、前述のような事案が発生した際に安否確認や本邦留守宅への連絡を行うことができなくなります。
在留届は現地に到着し、住所または居所が決まってから提出します。所定の用紙に記入して直接大使館等に提出する他、「オンライン在留届(ORRネット)」を利用する方法もあります。ネット申請時には必須項目として氏名、海外での住所、留守宅等の連絡先、パスポート番号等、任意項目として本籍、勤務先、同居家族等を記入する他、今後ORRネットにログインするためのIDとなるメールアドレスとパスワードの登録が必要になります。事前に準備しておくと一連の手続きをスムーズに行うことができるでしょう。住所やパスポート番号等に変更があった場合も同ネットを利用して変更届を行うことができます。その他想定される質問については同ネット上に「在留届FAQ」がありますのでご参照ください。
以上のように、在留届は万が一の際に安否確認をしてもらったり、必要な情報をタイムリーに取得するために非常に重要です。最近では武漢で発生した新型コロナウィルスによる肺炎についてメールで情報を送ってもらいました。正確かつ最新の情報を手に入れることができるのは大変ありがたいことです。万が一のことはないに越したことはありませんが、日本に残してきているご家族のためにも海外に赴任し住所が決定しましたらなるべく早く手続きを行いましょう。そしてご家族にも在留届の概要とそれを提出済みであることをお伝えした方が良いかと思います。
まだ先の話になりますが、帰国の際には「帰国届」の提出が必要になります。提出せずに帰国されるとその後も所定の期間内は注意喚起や安否確認のための連絡が登録者の電話番号やメールアドレスに送信されることになります。緊急事態の際、大使館等は既に帰国されているあなたの安否確認に時間をとられ、実際にその時現地に滞在している他の日本人の方の安否確認がその分だけ遅れることになりかねません。周囲の方にもお声かけいただき、ご帰国の際には帰国届の提出を忘れずにお願いします。
※1 外務省 オンライン在留届(ORRネット)
HP:https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html
※2 外務省 在留届FAQ
HP:https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/faq.html
以上
綺羅商務諮詢(上海)有限公司 杉山