きらぼし中国ビジネスQ&A

第 101 回「傷病休暇について」
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<質問>
私は上海現地法人の総経理です。弊社の従業員が重病を患い、通院をしながら自宅療養をしています。この従業員の勤務年数は8年ですが、どのくらいの期間、休暇を付与することができるのでしょうか?またこの期間中の給与面についても合わせて教えてください。

<回答>
〇休暇期間について
上海市では、疾病または業務外の理由による負傷の際の療養期間(=治療のために休暇取得を認め、かつ労働契約を解除してはならない期間)の基準が定められています。この期間は、労働者の当該会社における勤務年数に伴い設定されます。1年目の場合、療養期間は3ヵ月とし、以降、勤務年数が1年増える毎に療養期間を1ヵ月増やします。例えば、勤務年数をNと置くと、療養期間はN+2ヵ月となります。よって本ケース(勤続年数8年)の場合は、10か月となります。ただし、この期間は24ヵ月を超えてはいけません。
   また、上記に加えて、労働能力鑑定により「労働能力完全喪失」と認定された場合、①定年退職(早期退職)または退職条件に合致した場合は退職手続き、あるいは、②療養期間の延長(使用者と労働者が具体的な期間を取り決め、当該延長期間と上段の療養期間の累計は24か月以上とする)の手続きをとります。
 療養期間終了後は、会社は法規に基づき労働契約を解除できると規定されています。しかし、労務リスクもありますので、労働契約終了時は療養期間満了の証拠等を残しておくことが重要となります。
 上海市人民政府印発修订后的《関于本市労働者在履行労働合同期間患病或者非因工負傷的医療期標准的規定》的通知 (沪府発〔2015〕40号)
http://www.shanghai.gov.cn/nw2/nw2314/nw2319/nw2404/nw38935/nw38936/u26aw44821.html 
 〇休暇中の給与について
上海市における休暇中の給与の規定は下記の表のとおりです。


上記給与は、当年上海最低給与水準の80%を下回ってはなりません。また、上記給与が上海市昨年度月平均月給を上回る場合は、上海市昨年度月平均給与により計算することができます。本ケースの場合は、10ヵ月の療養期間のうち、最初の6ヵ月間は本人給与の100%を支給、残りの4ヵ月間は本人給与の60%を支給します。
 《関于加強企業職工疾病休假管理,保障職工疾病休假期間生活的通知》(上海市労働局沪労保発〔1995〕83号)
参考:http://rsj.sh.gov.cn/201712333/xxgk/rdhy/201910/t20191011_1300307.shtml
最後に、上記医療期間が終了し労働契約を解除する場合、経済補償金に加えて医療補助金の支給が必要です。医療補助金の金額は、本人給与(契約前12か月の平均給与)の6ヵ月分を下回らない金額となります。
 ≪上海市労働合同条約≫(上海市人民代表大会常務委員会公告第58号)
 現在、中国においても三大疾病や生活習慣病が増加していますので、当問題に悩むケースも増えてくるかもしれません。療養期間終了後に労働契約を解除する場合、会社と従業員がお互い円満な契約解除を行うためにも、規定以上の経済補償金・医療補助金の支給検討が必要になるかもしれませんね。



以上
綺羅商務諮詢(上海)有限公司 佐藤

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