きらぼし中国ビジネスQ&A

第 100 回「親子ローンの返済」
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<質問>
私は上海現地法人の副総経理です。私が赴任する前に、弊社は日本本社から運転資金を借入れしているのですが、そろそろ借入期限が到来します。弊社としては初めての日本本社からの借入だったので、社内に返済手続きを知っている人間がいません。どのような手続きが必要なのか教えて下さい。

<回答>
日本本社からの借入、通称「親子ローン」ですが、借入する際に貴社は外貨管理局で外債登記手続きを行っている筈です。もしこの外債手続きをしていなければ、正式な借入手続きではありませんので、日本への返済手続きが出来ません。この外債手続きが正しく行われているか確認するためには、日本本社との借入契約書だけでなく、貴社スタッフに①境内機構外債签約状況表(中国語/境内机构外债签约情况表)、②外債変動反饋表(中国語/外债变动反馈表)、③業務登記証跡(中国語/业务登记凭证)が社内にあるかご確認下さい。
 上海市で外債登記をしている場合は、これら資料が存在します。そして、この①境内機構外債签約状況表(中国語/境内机构外债签约情况表)には借入金額や返済時期など条件が全て記載されていますので、借入内容の確認も可能です。
 そして、親子ローン返済手続きは、銀行で日本への送金手続きを行う前に、銀行ごとで多少の違いはありますが、先に借入利息に関する税金を納付します。現在、税務局での納付申請手続きは一部インターネット上で可能ですが、借入利息に対して(1)源泉所得税、(2)増値税、(3) 増値税付加税(都市維持建設税、教育付加税、地方教育付加税)が課税されます。課税方法については、貴社担当の会計事務所にご確認下さい。
この利息に対する税金ですが、納税者名義は中国現地法人名ではなく、日本本社名義となります。
考え方として、利息は日本本社(非居住者)が貸付したことで、中国で得られた利益ですので、受益者である日本本社名義で納税します。
  納税後、日本へ借入した金額と利息を送金しますが、利息分は「支払利息 - 納税金額 = 送金額」というように、日本本社名義で納税した金額を差し引いて送金を行います。日本本社名義で納税した税金の一部は、日本で外国税額控除の対象となりますので、日本の税理士事務所に対応をご相談下さい。 そして、この日本への送金が、全ての手続きの終わりではありません。送金手続き後、親子ローンを完済した場合、親子ローン専用銀行口座(外債専用口座)を閉鎖します。その後、外貨管理局で外債登記の抹消手続きを行います。
 この外債登記抹消手続きで必要なのが④外債抹消申請書と、先述した①境内機構外債签約状況表(中国語/境内机构外债签约情况表)、②外債変動反饋表(中国語/外债变动反馈表)、③業務登記証跡(中国語/业务登记凭证)です。また更に⑤借入契約書と日本本社からの返済請求書を求められるケースもあります。
 ④外債抹消申請書は当局制定のフォーマットはありませんが、申請書の中に(ⅰ)外債登記業務番号、(ⅱ)借入金額、(ⅲ)返済金額、(ⅳ)利息金額、(ⅴ)利息計算期間、(ⅵ)外債専用口座開設銀行、(ⅶ)外債専用口座番号などを記載する必要があります。特に利息については、利息計算式や納税金額なども明記する必要がありますので、ご留意下さい。
 外債登記の抹消手続きは、原則は最終元本・利息返済日から1ヶ月以内かつ外債専用口座閉鎖後2営業日後に外貨管理局で申請を行う必要があります。
万が一、外債登記抹消を行わなかった場合、将来、新たに親子ローンを行う場合に大きな障害になります。親子ローン返済手続きは単なる送金手続きではなく、銀行・税務局・外貨管理局と手間が多い作業です。早目に作業に着手されることをお薦め致します。



      

以上
綺羅商務諮詢(上海)有限公司 蓑田

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