きらぼし中国ビジネスQ&A

第 96 回「減税は享受できる?」
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<質問>
私は上海にあるサービス業の総経理を務めています。今年に入り、中国は減税政策が立て続けに出ているのは知っているのですが、私共のような決して大規模ではないサービス業でも減税の恩恵は受けられるのでしょうか? 
 
 
<回答>
 今年に入り、中国政府は景気を刺激するために様々な減税政策を打ち出しています。減税政策は多岐に渡りますが、大規模ではないサービス業でも享受できる減税政策がありますので、幾つかご紹介致します。
(1)小規模企業の企業所得税の優遇
 以前、この中国ビジネスQ&Aでもご紹介したことがありますが、小規模企業に対しては企業所得税の優遇政策があります。
<過去Q&A>第83回「企業所得税10%?増値税16%?」
http://www.kiraboshi-bc.com.cn/topics/business/985.html
 この優遇政策が2019年度から更に優遇幅が広がりました。具体的には2019年1月1日から2021年12月31日までの期間を対象に、国家が制限或いは禁止していない業種で、かつ年間課税所得額が300万元以下、従業員数が300人以下、資産総額が5,000万元以下等の3つの条件を同時に満たす場合は下記企業所得税が適用されます。
課税所得額≦100万元の部分に対して
当該所得の25%を課税所得額とし、企業所得税20%が課税
25%×企業所得税20
=実質税率5
100万元<年間課税所得額≦300万元の部分に対して
当該所得の50%を課税所得額とし、企業所得税20%が課税
50%×企業所得税25
=実質税率10

 

(2)サービス企業の仕入増値税加算控除
 現代サービス、生活サービス、電信サービス、郵便サービスの売上高が全体の売上高の50%超の企業を対象に、2019年4月1日から2021年12月31日の期間中、控除可能な仕入増値税に10%を加算して控除することが認められています。
 サービス業にとっては仕入増値税控除の対象が少ないケースが多く見受けられている為、該当する企業にとっては朗報でしょうが、この控除の恩恵を受けるためには、基本的に、自主申告が必要です。申告漏れがないよう下記公告をご参照下さい。
「更なる増値税改革に関する政策の公告」(財政部税務総局税関総署公告2019年第39号)
http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c4160283/content.html


(3)国内交通サービスの仕入増値税控除
 利用した国内交通(飛行機、新幹線、レンタカー)に関する仕入税額が、売上税額から控除することが可能となりました。

取得した発票やチケットなど
控除税額
注意事項
増値税電子普通発票(領収書)
発票に記載された税額
 
飛行機電子チケット
(チケット代+燃料費等÷1+9%x 9%
利用者の身分情報が明記されている必要あり
新幹線チケット
チケット額面金額÷1+9%x 9%
バス、水路等その他チケット
チケット額面金額÷1+3%x 3%
   従来から会社で従業員が経費精算する際に、購入したチケットが必要な点においては、どの企業においても共通の認識がある所ですが、改めて発票やチケットの取扱いについて社内で共通認識をされても宜しいかもしれません。なお、この仕入増値税控除は国内交通サービスだけが対象になりますので、ご留意下さい。

 

 幾つか代表的な減税政策をお伝えしてきましたが、企業によっては更に享受できる減税政策があるかもしれません。減税の中には自己申告しなければ享受できないものもあります。貴社に該当するものが他にないか会計事務所や経理担当者と改めてご確認されることをお薦め致します。
 
以上
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