きらぼし中国ビジネスQ&A

第 94 回「外商投資法?」

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<質問>

私は中国に赴任したばかりで、まだ中国語を勉強し始めてから日が経っていないのですが、先日中国語の勉強も兼ねて中国のニュース番組を見ていたら、「外商投資法」という言葉が目につきました。外商という言葉なので、海外企業に関わることかと思っているのですが、どういう内容で、なぜニュースで取り上げられていたのでしょうか?
 
<回答>
 「外商投資法」とは外資企業(海外からの投資企業)に関わる法令で、2019年3月に開催された全人代(日本の国会に相当)で決議されたばかりであることから、ニュース番組で取り上げられたのでしょう。
 従来、外資企業に関わる法令は「会社法」以外に「外資企業法」「中外合作経営企業法」「中外合資企業法」という外資三法と呼ばれる法令が基礎となっていましたが、2020年1月「外商投資法」施行後はこの外資三法が廃止され、「外商投資法」が外資企業にとっての基礎法令となります。
 なお、現在の外資三法に基づいて設立された外資企業は「外商投資法」施行後5年以内は従来の会社組織形式を継続して保留できると規定されています。裏を返せば、5年以内に「外商投資法」に合わせた会社組織形式への変更の必要があります。
 
 しかし、この法令変更ですが、決して外資企業にとってネガティブな話ではありません。法令変更には、海外から中国への投資を更に呼び込めるよう中国政府が投資の門戸を開いたことが背景にあり、従来あった個別の審査認可制度は廃止され、外資参入後の国民待遇とネガティブリストによる管理制度を導入し、その上、外資企業を設立するための手続きも簡素化されます。
 
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先述しました通り、外資企業は5年の猶予期間中に外資三法から「外商投資法」の法令変更に合わせて会社体制を変更しなければなりません。どの外資企業も「外商投資法」の内容を確認して、会社の定款を見直す必要がありますが、特に合弁企業の場合は早々に体制変更を検討開始する必要があります。
 なぜならば、合弁企業は「中外合弁経営企業法」という法律に基づいて定款を作成しています。この「中外合弁経営企業法」では「会社法」と異なり、会社の最高意思決定機関が董事会と制定(会社法上では株主が最高意思決定機関)されています。他にも「中外合弁経営企業法」は「会社法」と異なる運用が規定されていますので、「外商投資法」に適合した会社体制について日本と中国の株主同士で協議を始める必要があるでしょう。
 
 現時点では、まだ全人代で法令が通過しただけであり、2020年1月の施行までに関連する法令や実務が変更されていくことが予想されます。外資企業にとっては会社運営に関わる重要な法令ですので、今後の動向には注目して下さい。
 
≪ご参考≫
中華人民共和国外商投資法(草案)
http://www.npc.gov.cn/npc/xinwen/2019-01/29/content_2071221.htm
            
以上
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