上海駐在レポート

第 84 回「中国のホテル事情」

中国には、日本よりも様々な種類のホテルがあり、街中でも多くのホテルを見かけます。筆者も出張や旅行で中国国内の様々なホテルに宿泊しましたが、最近では中国の最先端の技術を駆使した無人ホテルや日系会社がデザインを手掛けた新しいホテル等も深センで誕生しています。今月は、中国のホテルの概要のご紹介と深センで新しく設立されたホテルについてレポート致します。21211

 

○中国のホテルの概要
中国のホテルは、「(大)酒店」、「飯店」、「賓館」、「旅館」、「招待所」、「会館」と呼ばれる様々なホテルが存在します。ホテルであるのに「(大)酒店」「飯店」等と呼ばれているのは、かつて「酒や料理も供する場所」であった名残が残っている為だと言われています。
一般的に、中国で飯店、酒店、賓館と呼ばれる宿泊施設は日本では高級ホテルに該当します。旅館、招待所、会館と呼ばれる宿泊施設は低級ホテルを指し1泊50元(≒800円)以下でも宿泊可能な非常に簡素な作りの施設となっています。宿泊施設の中には、外国人が宿泊するのに必要な宿泊登記が出来ず、外国人が宿泊出来ない施設も多いようです。

 

○中国のホテルのランク分け
中国のホテルのランクは、大きくは星付きと星なしの2つに分けられます。中国では1980年以前には特定のホテル評価基準は存在していませんでしたが、1985年に国家旅遊局による観光体制の改革に関する報告が出され、何度か改訂があった後の1993年には国家技術監督局の審査と修訂を経て、『中華人民共222.png和国旅遊渉外飯店星級計分与評定』という1~5段階でホテルの評価をする5つ星システムが作成されました。
一般的に、1つ星ホテルはダイニングサービスを提供する必要がなく、2つ星ホテルは多くがダイニングエリアを持ち、3つ星ホテルからはダイニングサービスを全面的に提供することが義務付けられています。4つ星ホテルはレストランのほかに、バーやカフェなどが併設され、5つ星ホテルは高級洋食レストラン付きが基本となっています。
中国の星付きホテルの数は、2017年度中国国家旅遊局調べによりますと9,775ヶ所となっており、その中でも3つ星ホテルの割合が1番多いです。筆者個人の意見となりますが、3つ星ホテルは日本のビジネスホテルクラス以上の品質があるように思われます。またリッツカールトンやシェラトンホテルなど複数のレストランやプール、ジム等を有する有名な外資系ホテルは中国でも5つ星ホテルとなっています。

 

○深センの新しいホテルの紹介
ここからは、新しく深センに2018年にオープンされた2つのホテルをご紹介します。

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① MUJIホテル
2018年1月18日、中国で多くの無印良品の店舗を展開する良品計画は、世界初の『MUJI ホテル』を深センの新しい総合商業施設・深業上城にオープンしました。ホテル全体のコンセプト及び客室内のデザインは良品計画が行い、ホテルの運営は深センのデベロッパーが行っています。ホテルは6階建てで、客室は、4階~6階の3フロアとなっています。その他にジムや会議室、無印良品の店舗、書店、MUJI Dinerというレストランも併設されています。
客室はシンプルながら清潔感があり、日本人の出張者や旅行者も多く宿泊しているように見受けられました。ホテルの近隣は新しいショッピングモールやマンションも次々に建設中の地区であり、これからさらに開発が進み、賑やかになっていく事が期待されています。


② 無人ホテル143.png
2018年に深センの福田地区と塩田地区に「楽易住無人智慧ホテル」という無人ホテルが2店舗誕生しました。無人ホテルでは、下の写真に挙げたチェックイン端末や案内ロボット、スマートフォンを利用してチェックインからチェックアウトまでの全ての行程を無人で行う事が可能となっています。
筆者が訪問した際には、ホテルの従業員と警備員が各1名ずつ交代で常駐していましたが、今後徐々に勤務時間を減らしていく可能性もあるとの話もあり、益々ホテルの無人化が進められていく模様です。
ホテル内には、顔認識センサーやスマートロックなどの設備が取り付けられており、全てのデータがクラウド上でつながっています。ユーザーの行動パターンなどが全てクラウド上で管理されデータ解析を行っているようです。123.png
当ホテルの宿泊方法は、まずホテル内の入口付近にあるチェックイン端末を操作し、宿泊者の顔認識をさせます。顔認識が完了するとスマートフォンに部屋番号とパスワードがメールで送られてきます。その後、案内ロボットに部屋番号とパスワードを入力すると、ロボットが宿泊部屋の目の前まで案内してくれます。さらに部屋に入る際に再度パスワードを入力すると、入室が可能になります。

 

○終わりに
最近の中国では、スマートフォンでの電子決済が発達したことにより、ホテルの予約からチェックアウトまでを容易に行うことが出来ます。また今回ご紹介したような無人ホテルの誕生等は筆者が2016年に赴任した当初からは想像もできなかったことで、中国のIT技術の進歩は目を見張るものがあります。皆様も出張や旅行等で深センに立ち寄る際には、MUJIホテルや無人ホテルを利用し、中国IT技術のレベルを肌で実感されてみてはいかがでしょうか?

 

 

(1元≒16円)
以上
深セン駐在 掛川

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