上海駐在レポート

第 71 回「自転車シェアアプリ~Mobike~」
中国主要都市の人々の移動手段として自転車の利用が急増しており、深センではMobike(摩拝単車)というオレンジ色を基調とした自転車をよく目にします。
これは、スマートフォンのアプリを活用した自転車シェアリングサービスで、Mobikeの利用者が増えることで、都心部の渋滞緩和や大気汚染の改善にも一役買っている様です。今月は、自転車シェアアプリMobikeをレポート致します。
 
○ Mobikeの概要
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<Mobike>
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<Mobike lite>
事業を展開するのは、Mobikeというベンチャー企業です。2015年1月にアメリカの自動車配車アプリ企業Uber出身の王CEOが独立し設立しました。2016年4月には上海、2016年9月には北京でサービスが開始され、上海だけでも10万台を突破しています。
2016年12月末時点では、広州、深セン、成都、寧波、厦門を加えた7都市で利用が可能になり、今後更なる拡大が期待されています。
従来、中国のレンタル自転車は専用の駐輪場から乗り、利用後に専用の駐輪場に返却しなければならない為、利用できる場所が限定されていましたが、このMobikeはスマートフォンのアプリを活用し、街中どこでも乗り降りできるという手軽さが、これまでにはない魅力となっています。
自転車の種類としては、MobikeとMobike liteの2種類あり、利用料金はMobikeが30分1元(約16円)、Mobike liteは半額の30分0.5元(約8円)となっています。車体価格は、GPS機能搭載の機器も付いている為、約3,000元(約48,000円)とも言われています。
Mobike liteは、前かごが付いていることと全体的に軽量化がされており、サドル部分のクッション性も高いです。筆者が実際に乗ってみた感想としては、サドルの高さが変えられないという難点はありますが、乗り心地は悪くなく、Mobike liteの方がMobikeより軽量化がされている分、小回りが利き、扱い易いです。地下鉄の1~2駅分の移動距離ならばMobikeの方が便利かも知れません。しかし、どちらもライトが付いていませんので、夜間の利用時には充分な注意が必要です。
 
○ 外国人の登録方法
次に、外国人(例えば日本人)によるMobikeの登録方法についてご紹介します。。
① スマートフォン専用アプリでMobikeをダウンロードします。もしくは、自転車のサドル部分に貼付されたQRコードをスキャンすることで登録することもできます。
② デポジット(保証金)の送金・・・微信支付(WeChat Pay)または、支付宝(Alipay)でデポジット299元(約4,784円)を支払います。(※デポジットを支払う際、事前に中国地場銀行での口座開設と口座開設の際に提示した中国での携帯電話番号が必須となります。)
③ 実名認証の登録・・・外国人はまず氏名、パスポート番号、国籍を入力します。
次に、「1.登録者本人がパスポートを持った写真」および「2.パスポートの証明書ページの写真」の登録申請を行います。登録データがチェックされ、問題が無ければ認証通知が届きます。(最大24時間かかるとのことでしたが、筆者の場合は30分ほどで認証の通知が来ました。)
 
○ アプリの活用方法
乗車方法は、先ずはアプリを開きますと、現在の位置情報が表示され、自分がいる場所の近くにある自転車がアイコンで表示されます。地図上から15分以内の距離の自転車は、予約する事が出来ます。
次に、その自転車が表示された場所まで行き、自転車のサドル部分にあるQRコードをスキャンすれば、自転車のスマートロックが解除され、乗車が可能になります。
返却方法は、自分の目的地まで利用した後、停車禁止地区以外の場所に停車し、鍵を掛けるだけです。鍵を掛けた後に、登録された電話番号のスマートフォンに返却の確認通知が届きまして、確認された後に返却完了になります。。
 
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<GPS上に表示されたMobike> <自転車のQRコード>
 
○ 利用マナーとポイント制度
Mobikeは便利である一方、利用マナーが問題となっています。例えば、利用者が私物化を試みる、車体のQRコードを塗りつぶして他人が読み取れないようにする、故意に車体を破壊する、部品を中古販売する等の事象が多発しているようです。
2016年12月9日には、上海でのMobike窃盗事件が発生し、窃盗した者には拘留3ヶ月と罰金1,000元(約16,000円)が言い渡された、という報道もありました。
利用マナーが問題視される中で、利用者にルールを遵守させる仕組として、信用ポイント制度があり、下記の減少項目ルールに抵触すると、利用者の信用ポイントが減少していきます。
利用開始時は100ポイントが付与され、その後に80ポイントを下回ると、Mobikeの場合は利用料金が30分5元(約80円)と通常の5倍に跳ね上がります。更にポイントがゼロになると利用不可になってしまいますので注意が必要です。
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<ポイントの一例> <ポイントの表示画面>
 
○ 終わりに
中国では今後も様々な企業が自転車シェアアプリ業界へ参入を予定しています。日本では2016年11月よりソフトバンクが参入するなどの動きも見られています。
利用者にとっては非常に安価かつ便利なアプリではありますが、Mobikeの王CEOは、「この事業は、営利と社会貢献が半々。まだどうすれば儲けられるか分かっていない。」と発言されており、まだ利益構築モデルは見えていないように伺えます。
Mobikeは、Iot(Internet of Things)モノのインターネットを具現化しているサービスと言えます。今後もMobikeと自転車シェアアプリ業界が、どのような変遷を辿っていくのかを注目していきたいと思います。
 
 
 
 
 
 (1元≒16円)
以上 
深圳駐在 掛川 貴史
お問い合わせは tomin_shanghai@tomin-bc.com.cn まで 
 

 

 

 

 
 

 

 
 

 

 
 

 

 

 

 
 
 
 

 

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