深圳は1970年代まで小さな漁村でしたが、鄧小平の改革開放以降に中国の経済特区に指定されました。また1988年に副省級市に格上げされ、国務院から省レベルに相当する経済管理権限を付与されました。そして1992年には、鄧小平の「南巡講和(改革開放を推し進めるために表明した講和)」で豊かさの象徴として取り上げられるまでになりました。その後、経済特区として外国資本や技術導入を積極的に取り入れた事と香港のすぐ隣という地理的条件が整っていた為、香港人が深圳に次々と工場を作り始めました。原料から完成品を生産しそれを香港から世界各地に出荷するといった加工貿易を始めてから、他の外資系企業がこぞって生産を始め、瞬く間に「世界の工場」と呼ばれるほどの一大生産拠点となりました。
深圳は、中国南部の広東省にあり、珠江デルタの東側に位置しています。市の南側は香港と接していて、西側と南東側に面しており、貿易に有利な地理的条件となっています。
また、香港と陸続きの部分にはフェンスが設置され「口岸」と呼ばれる出入国ポイント(イミグレーションからの出入りが可能で、外国人はパスポートが必要となります)。
(2)深圳への入国方法
深圳に入国する方法はまず大きく分けて2つの方法があります。1つ目は、日本から深圳国際空港へ直接飛行機に乗り入国する方法、2つ目は日本からまず香港国際空港へ飛行機に乗り、その後イミグレーションを通過して深センへ向かう方法の2つです。
実際に今回の赴任にあたり、筆者は後者の方法を選びました。赴任準備当初は、直接深圳国際空港から入国するほうが便利なのでは、と考えていましたが日本からの便数も少なくまだまだ一般的な方法ではないようです。また香港国際空港から深圳へ向かう方法を選んだ場合、その選択肢は大きく分けて3つあります。それは、①バスを利用する、②MTR(Mass Transit Railway)と呼ばれる香港最大の鉄道路線システムを利用する、 ③フェリーを利用するというものです。今回はフェリーを利用しましたが、他の方法と比べ徒歩移動も少なく、飛行機の機内預け荷物も香港から輸送してくれるので、初めての方には快適かつ安全に深センへ向かう事ができるのではないかと感じました。別の2つの方法も今後試したいと思います。
(3)深圳の面積・人口
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《深圳のフェリーでの様子》 |
《荷下ろしの様子》 |
深圳の面積は約1,997㎢で人口は実質約1,830万人です。これは東京の面積が2,187㎢で人口は約1,300万人との統計と比較しますと、ほぼ同じ規模となっています。特徴としては、高齢者の割合が低く、在住者の半数以上が深圳市、広東省以外から流入している移民都市となっており、数年経つと故郷に帰ってしまう人が多いということです。さらに出稼ぎに来る人の多くが若者であり、平均年齢は推定30歳と若いため「希望の街」、「チャンスの街」とも呼ばれています。
使用言語について広東省以外の出身者が多い為、広東省にありながら広東語よりも普通語(北京語)の使用比率が高いようです。筆者も深圳では、広東語しか使われてないのかと心配しておりましたが、生活圏内にあるお店やタクシーの運転手等は、普通語を使用しています。中国語は勉強中で、まだまだ学習している身ではありますが、普通語が通用しておりまして一安心しているところです。
○ おわりに
深圳の発展してきた背景には、やはり世界有数の大都市である香港に隣接していることが挙げられると思います。経済面、人的、文化的な面でも、香港の影響を大きく受けているようです。現在では、金融やハイテクIT(情報技術)、サービス業へとシフトしています。全世界で登録ユーザー数11億人を超えると言われている中国国内のコミュニケーションツールとして欠かせない微信(ウェイシン。中国版LINE)というアプリを開発した事で有名な騰訊(テンセント)の本社や、日本では携帯電話会社として有名な華為(ファーウェイ)など有名ハイテク企業本社や工場が拠点を構えています。
今後中国の中でも著しく成長を続けていくだろう深圳そして香港、華南、東南アジア地区を見据えながら筆者の実体験を交えながら今後お伝えしていきたいと考えております。