上海駐在レポート

第 62 回「中国展示会市場」
現在、世界の消費市場として注目を集める中国では各地で様々な展示会が開催されています。とりわけ中国経済を牽引する上海では中国一の展示会開催数を誇り、国際的な地位向上が図られています。「売買交渉の場」「情報収集の場」「広告宣伝等のマーケティングの場」等様々な役割・機能を有する展示会には、新たな雇用創出、公共インフラ充実等の効果も期待できます。
今月のレポートでは、急速に発展を遂げる中国展示会市場についてご紹介致します。
 
 
○ 中国展示会市場の概要
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チャイルドシートの展示ブース
商務部のサービス貿易商貿サービス部が2015年10月に発表した「中国展覧行業発展報告」によると、2014年に中国全土で開催された展示会の数は、8,009回、展示総面積は10,276万平方メートルと初めて1億平方メートルを超え、その規模は年々拡大を遂げています。また5,000平方メートル以上の展示会場は全国で約350ヶ所、10万平方メートルを超える展示会場は90ヶ所に上ります。
業種別に年間開催数をみると、自動車関連の展示会が年間503回とトップで、その後に文化芸術関連、設備部品関連、卸売小売関連と続きます。自動車販売台数・生産台数が世界トップである中国では自動車産業が依然として注目された業界であることが分かります。
さらに経済効果も大きく、2014年の展示会市場は4,183.5億元(前年比+8.1%)、国内GDP総額(63兆6,463億元)の0.66%、第三次産業(30兆6,739億元)の1.36%を占めます。就業者数は延べ2,905万人に上り、新たな雇用創出にも寄与しています。
特に展示会が集中する地域は、北京、上海、広州、重慶であり、4都市で開催された展示会数は2,254回と全国の28.1%を占めます。その中でも2014年度の上海での開催は769回と全国トップの展示会数を誇ります。
 
○ UFI認証制度
このように益々発展する中国展示会市場ではUFIの認定を受けた展示会が多くあります。UFI(国際見本市連盟)とは、世界85ヵ国の主要な展示会主催者、展示会場、展示会業界関係者約700社・団体が加盟する展示会事業における最もグローバルな団体です。国内外の事業者に対して透明性・信頼性の高い展示会情報を提供する為、来場者数及び出展者数のカウント方法を確立し、それが国際的に認められた唯一の基準となっています。そしてその基準を満たす展示会をUFI認定展示会としています。2015年11月末時点で、中国でUFI認証を受けた展示会企業は100社を超えて世界トップ(日本は11社)です。また、UFI認証を受けた展示会の数も103(日本は2)と世界トップであり、中国が世界の中でも業界をリードし、国際的な地位向上が図られていることが分かります。
 
○ 上海の展示会場
上海では展示会開催における経済効果を非常に重視しており、市政府は2011年から2015年までの第十二次五ヶ年計画の中で展示総面積を1,500万平方メートル/年を目標としました。2016年から2020年までの第十三次五ヶ年計画は現在作成中であるようですが、上海市を「国際展示会の都」として確立するために今後も展示会数、総面積と規模の拡大を図っていく模様です。
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≪「家電及び消費電子博覧会」の様子≫
上海展示会市場が発展する中、2014年には展示可能面積50万平方メートルの世界最大の展示会場「国家会展中心(上海)」が完成しました。日本最大の展示会場である東京ビッグサイト(展示面積:80,660平方メートル)の6倍以上の面積であることからもその規模の大きさが窺えます。また2015年4月には早速、上海モーターショーの展示会場として利用されました。例年、上海モーターショーは上海浦東地区最大級の上海新国際博覧中心(20万平方メートル)で開催されていましたが、出展者数が多くスペースが不足する事態が発生していた為、多くの自動車メーカーがビジネスチャンスを逃してきたと言われていました。展示会場を移して開催された昨年の上海モーターショーは私も一通り見学しましたが、展示会場のスペースを余すことなく活用しており、自動車市場の規模の大きさと競争力の高さから、上海での展示会スケールの大きさを肌で感じる事が出来たことを覚えています。
また、右の写真は先日3/9~12に上海で開催された「家電及び消費電子博覧会」の様子です。当展示会は上海新国際博覧中心で行われ、世界各国・地域から350もの展示企業、11万人の来場者が集まりました。各企業は差別化を図るべく、家電商品の紹介だけでなく実際に家電を用いて調理を行ったり、ダンス等のエンターテイメント、コンパニオンの配置等行っていたことが印象的でした。展示会市場の発展に伴い、単なる展示会に留まらない様々な取組が必要になることを改めて感じました。
尚、以下の表は上海展示会場を一部まとめたものです。
ご参照下さい。
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○ おわりに
最近の中国はGDP成長率の低下、株価下落等、経済の減速から消費の落ち込みが懸念されています。しかし依然として中国、上海を重点マーケットとして認識している企業経営者が多く存在するのも事実です。中国の展示会市場が発展することは、世界中の投資を呼び込み、さらに中国を訪問する人々に中国の製品・サービスを紹介する絶好の機会となります。また同市場の発展は、ホテル業、飲食業、小売業、インフラ整備等関連産業への相乗効果も大いに期待されます。中国経済発展を支える展示会市場の発展を今後も注目していきたいと思います。
 
 
 
以上
 
上海駐在 小林邦寛
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