上海駐在レポート

中国における会社設立の実務(後編)

中国における会社設立の実務(後編)
 

2016年6月24日更新

中国における会社設立の実務(前編)はこちら
http://www.tomin-bc.com.cn/topics/address/625.html                                 

前編からの続き

 

④ 商務部門への申請
➣上海市では商務部門への書類提出前に、ネット申請を行います。ネット申請後5営業日以内に紙の申請資料を提出します。
➣申請後、認可されたか否か、インターネット上で確認することも出来ます。

 

⑤ 工商局への申請
➣商務部門から「批復」「批准証書」を入手後、工商局で設立登記手続きを行います。登記完了後に「営業許可証」を入手出来ますが、この営業許可証には印紙が必要です。印紙の貼り忘れにはご注意下さい。
➣工商局へは董事会メンバー・監事・総経理の届出を行い、登記されます。各メンバー変更の際には、この登記を変更しなければなりませんので、メンバー変更の際は手続きが漏れないようご注意下さい。
➣2015年10月から「三証合一、一証一碼」という登記改革制度が実施されています。以前は「営業許可証」「税務登記証」「組織機構コード証」と3枚の証明証が存在しましたが、これらを営業許可証1枚に纏めることで、企業の事務負担を減らすことを目的とした改革制度です。

 

⑥ 印鑑作成
➣中国では会社印(公章)、代表者印(董事長印)、財務印など様々な印鑑があります。この印鑑は日本と異なり、公安局指定の印鑑会社で作成する必要があります。中国の印鑑については、下記レポートをご参照下さい。
「現地法人のハンコ」
http://www.tomin-bc.com.cn/topics/business/216.html

 

⑦ 税務登記
➣先述した「三証合一、一証一碼」によって、「税務登記証」はなくなりましたが、別途税務局へ社員数等の報告が必要になります。手続きの漏れがないようご留意下さい。
➣税務局への申請の際、会計担当者の会計資格情報を記入する必要があります。そのため、現地法人設立を決めた際には早めに会計業務を委託する会計事務所の選定が必要です。会計等業務アウトソーシングについては下記レポートをご参照下さい。
「中国現地法人の会計税務業務」
http://www.tomin-bc.com.cn/topics/address/314.html
「中国での業務アウトソーシングについて」
http://www.tomin-bc.com.cn/topics/address/35.html

 

⑧ 銀行口座開設
➣ 中国の銀行口座は日本と異なり、資本取引と経常取引、取引形態により各種銀行口座を開設します。詳細は下記レポートをご参照下さい。
「中国での銀行口座について」
http://www.tomin-bc.com.cn/topics/address/102.html
➣地場銀行で銀行口座開設する際、地場銀行から、現地法人の法定代表人パスポート原本の提示を求められることが一般的です。現地法人の法定代表人を日本本社の社長・役員が兼務している場合、銀行口座開設のためにわざわざ上海へ渡航するのが難しいケースもあります。銀行によっては、パスポートコピーに日本の中国大使館認証があれば認めるケースもありますので、予め現地銀行やコンサルティング会社等に相談されることをお薦め致します。

 

⑨ 資本金送金
➣銀行で資本金専用口座を開設し、日本から資本金送金を行います。日本側で送金手続きを行う際、資本金満額が着金できるよう、送金手数料を「送金人負担」とされることをお薦め致します。
➣資本金着金後、すぐにお金が使えるわけではありません。お金を使うためには、下記験資またはFDI流入権益確認申請手続きが必要ですので、余裕をもった支払スケジュールの設定が必要です。

 

⑩ 験資またはFDI流入権益確認
➣中国では験資という会計事務所が行う作業があります。験資を簡潔に説明しますと、海外からの資本金着金を会計事務所が確認・証明するものです。
➣験資後に完成する「験資報告」は事業活動中の様々な場面で使用します。例えば、資本金を使う場合にも験資報告を銀行へ提出していました。しかし最近では験資報告の提出を必要としないケースも増えています。
➣もし験資を行わない場合、現地法人自ら(またはコンサルティング会社等へ委託)外貨管理局で資本金着金手続き「FDI流入権益確認」申請を行わなければなりません。この手続きを行わないと、資本金が使えませんので、ご注意下さい。

 

⑪ 諸登記
➣現地法人設立後には、各種登記を行う必要があります。対外貿易経営者登記などは現地法人設立後30日以内に手続きを行わなければいけませんので、各種登記の漏れがないようにご注意下さい。
➣各種登記の殆どは更新期限が定められていますので、更新期限の期日管理ができるよう各種登記証を保管して下さい。
➣登記手続きを専用のネット画面で操作するケースが増えています。ログイン時にはパスワード設定が必要です。このパスワードも忘れずに管理されることをお薦め致します。
➣現在、上海では「法人一証通」というUSBが各企業へ配布(取得申請必要)され、税務申告や年度監査等でこの「法人一証通」と付随するパスワードを使用します。利用頻度の高いUSBですので、管理にはご注意下さい。

 

⑫ 一般納税人資格
➣現地法人設立登記は上記の通りですが、中国では日本と異なり、お客様へ渡す領収書を近くの文房具店で買うのではなく、税務局から専用の領収書(中国語で「発票」)を購入する必要があります。
➣中国では付加価値税(日本の消費税)を増値税と呼びます。この増値税課税については「一般納税人」と「小規模納税者」で区分けされ、税率等が異なります。一般的には「一般納税人」資格を取得する必要があり、この資格取得には会計事務所との事前打合せが必要です。一般納税人資格については、下記レポートをご参照下さい。
「増値税の一般納税人資格について」
http://www.tomin-bc.com.cn/topics/address/63.html

 

以上、中国上海市における会社設立手続きについて概要を記載しましたが、上海市では手続きの簡素化が年々進み、申請書類や手続きが刻々と変更されています。また取扱商品によっては業界特有の認可を取得する必要があります。
現地法人設立手続きは、登記代理を行う地場企業や弁護士事務所・コンサルティング会社など様々なところへ委託することが可能です。
弊社も現地法人設立実務の全てを請け負っております。今回のレポートが、今後中国でビジネスを行う企業様の一助になれば幸甚です。

 

都民銀商務諮詢(上海)有限公司
蓑田
お問い合わせは tomin_shanghai@tomin-bc.com.cn まで

 

【キーワード】中国 会社 現地法人 登記 工商局 税務 銀行口座 験資

 

绮罗商务咨询(上海)有限公司 XFCSS .ALL Rights Reserved 沪ICP备18032119号-1
Copyright Kiraboshi Business Consulting Shanghai Co.,Ltd ALL Rights Reserved

沪公网安备 31010102005043号