上海駐在レポート

中国における会社設立の実務(前編)

中国における会社設立の実務(前編)


2016年6月24日更新

外国企業が中国で現地法人を設立する場合、中国の法律に基づき、投資する現地政府機関から現地法人設立の認可を取得する必要があります。
今回は設立場所を中国上海市、現地法人の形態を貿易会社、衛生許可など業界特有の認可を除いた一般的なケースを例に、中国における会社設立手続きの実務をご紹介致します。


<上海貿易会社設立フロー>


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以前は投資金額等に応じて「区」で認可できる投資プロジェクト、「上海市」や「中央政府」で認可できる投資プロジェクトなど細かく分類されていましたが、規制緩和が進んだ現在では多くの投資プロジェクトが「区」で認可されるようになり、現地法人立ち上げまでの時間・労力は減りました。

 投資認可の手順は、外国企業が投資する際はまず「商務部門(イメージ:日本の経済産業省)」の認可を取得。その後「工商行政管理局、略称/工商局(イメージ:日本の法務局)」で現地法人設立登記を行い、「営業許可証」を取得。「営業許可証」を取得することで、中国で事業活動が行えます。 

この「営業許可証」認可日が、現地法人の設立日となりますが、投資認可申請前に不動産契約を済ませる、銀行口座開設は営業許可証取得後など、現地法人設立準備の際に知っておくべき事項が幾つかあります。
多くの外国企業は現地法人設立の実務を専門会社へ委託されていますが、企業側でも設立までの流れを把握しておくことは、現地法人設立後の事業運営においても重要なことです。
下記に現地法人設立の主な注意点を記載しましたので、現地法人設立の参考にして下さい。

 

<現地法人設立の主な注意点>
① 不動産契約について
➣現地法人設立前にオフィスを決める必要があります。現地法人設立申請資料は所在区の中国当局へ申請しますので、先に所在区を決定する必要があります。
➣ 現地法人設立申請資料には不動産契約書も含まれますので、まずは不動産を視察し、不動産契約を締結します。上海の習慣上、不動産契約には手付金(1か月分など)や保証金(3か月分など)を求められるケースが多く、現地法人設立前の保証金支払い方法については、事前に会計事務所・コンサルティング会社・不動産会社など専門家へのご相談をお薦め致します。
➣一棟のオフィスビルでも、各部屋がそれぞれ売却され、賃貸する物件が個人オーナーのケースもあります。個人オーナーの場合、現地法人設立申請資料に「転貸証明」を求められることもあり、個人オーナーとの契約時には注意が必要です。
➣ 中国も日本同様、契約書等には印紙(中国語で印花税)を貼ります。当局へ書類を申請する際、印紙を貼った不動産契約書が必要となりますので、印紙の貼り忘れにはご注意下さい。
➣ 中国でのオフィス賃貸については下記レポートをご参照下さい。
「中国でのオフィス賃貸について」
http://www.tomin-bc.com.cn/topics/address/161.html

 

② 企業仮名称取得
➣現地法人設立申請資料には、現地法人の企業名称を記載する必要があります。そのため、現地法人設立申請前に仮名称を取得しなければなりません。中国における企業名称については下記レポートをご参照下さい。
「中国における外商投資企業の企業名称について」
http://www.tomin-bc.com.cn/topics/address/534.html

 

③ 申請書類の準備
➣「現地法人設立までの期間を短くしたい」という声も聞きますが、期間を短縮するためには申請資料の事前準備が重要です。中国当局が行う審査や登記完了までの期間は20営業日以内や5営業日以内など明確に提示されており、この期間が大幅に短縮することは、あまり期待できません。そのため現地法人設立までの期間を短縮するためには、申請資料をいかにスムーズに準備するかがポイントになります。
➣申請書類の中には「事業計画」(フィージビリティースタディー、通称F/S)の提出が含まれます。この「事業計画」は社内で検討された事業計画をそのまま提出するのではなく、審査する中国当局が見慣れた形式で提出するのが一般的です。当局提出用の「事業計画(F/S)」ひな形は専門会社などから入手可能です。F/Sについては、下記レポートをご参照下さい。
「F/Sって何?」
http://www.tomin-bc.com.cn/topics/business/380.html
➣「事業計画(F/S)」や定款上に、経営範囲を明記する必要があります。経営範囲については、下記レポートをご参照下さい。
「現地法人の経営範囲について」
http://www.tomin-bc.com.cn/topics/address/196.html
➣申請書類には日本本社(投資者)法定代表者の署名が必要です。署名する枚数があまりに多いため、署名された後にぼやく方もいらっしゃいます。
➣申請資料一式は署名後、全てコピーして保存されることをお薦め致します。特に署名したページは保存して下さい。増資・移転・撤退など事業転換の際に、設立時の資料を確認または提出することがあります(工商局など中国当局は各社申請資料を保存しています)ので、保存されることをお薦め致します。

以下、後編に続く

後編はこちら

http://www.tomin-bc.com.cn/topics/address/626.html


                               

都民銀商務諮詢(上海)有限公司
蓑田
お問い合わせは tomin_shanghai@tomin-bc.com.cn まで

 

 

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