上海駐在レポート

第 46 回 「中国(上海)の物価上昇」

第 46 回 「中国(上海)の物価上昇」

旅行や出張で海外を訪問する方や海外駐在する方が持たれる関心の一つに、訪問する国の「物価」が挙げられます。近年、小職が駐在する中国では物価上昇や人民元高の影響から訪れる海外旅行者の数が減少傾向にあります。また、今年10月から11月にかけた急激な円安人民元高の影響より、財布の紐が固くなった日本人駐在員の方も多いのではないでしょうか?
  例えば、ある日系レストランのとんかつ定食の価格は80元ですが、2010年当時の為替レート(1元≒12.0円)で960円だったものの、今年10月末の為替レート(1元≒17.8円)では1,424円と約5割の上昇となっており、日本の定食価格帯と比べても割高感が出てきているのが現状です。
  経済発展の著しい中国において、物価は当面上昇すると予想されており、この物価上昇に対応するため中国駐在者には工夫した生活が求められてきます。今月のレポートでは、現状の中国(上海)の物価上昇について考えていきたいと思います。
 
○ 中国消費者物価指数
  まずは、中国の消費者物価指数(Consumer Price Index、以下CPI)について近年の推移を紹介します。CPIとは、消費者が購入する商品やサービスの物価変動を表す指数を示し、下記表では2010年を基準値=100とし、2014年以降は予測値を示しています(2018年は125.3を予測)。2013年の平均指数は109.4であり、これは、1201-2.jpg2010年に100元で購入できたものが2013年では109.4元必要であることを示します。具体的に調査してみると、野菜や果物、牛乳等について、上昇率は様々であるものの、2010年よりも確実に値段は上がっており、実際の生活でも物価の上昇を実感することが出来ます。また、指数以上に顕著に上昇している代表格は不動産です。新築住宅価格は2010年から2013年の間に約1.5倍に上昇し、アパート賃貸価格についても数年前まで1,500元で借りられた物件が、現在では3,000元と倍になった例もあります。
  このように、最低賃金は年々上昇しているものの、低中所得者にとって食料品や住居を中心とする物価の上昇は生活を逼迫する要因となっています。

 
 上海市内の物価(2010年との比較)
  下記表2は、上海市内の物価について、日本でもお馴染みの物やサービスを2010年と比較調査したものです。
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2010年時点では、大体の物やサービスが日本よりも割安でしたが、現在では2010年時点と比べて人民元価格で約3割、円換算では約5割程度上昇しています。数年前までのお得感はなく、逆に「日本よりも高い!」と感じる方が多いのではないでしょうか。
  ただし、上海の物価は、例えば同じ「水」にしても国産(1~2元)と輸入品(10元~)で大きく異なるように、幅が広いことも一つの特徴です。安いものの代表に交通機関が挙げられますが、上記の価格帯であれば現在でも割安感は感じられます。公共料金についても日本よりは割安感があり、携帯電話料金について言えば、日本よりもWi-Fi環境が整っていることから、月100~200元程度で十分利用することが出来ます。高いものの代表としては、上記に挙げたスターバックスやユニクロ等の外資チェーン店、ルイヴィトンやグッチ等のブランドショップ店があり、これらは日本よりも割高となっています。
  中国の物価が高いと感じる一方で、職場の中国人スタッフの多くは「日本の方が物価は安い!」・「元高でお得!」と感じている様で、来年2月の春節で日本に旅行するという人も多く見受けられます。もともと消費力の高い中国人が元高の影響で更に日本での買い物が増えることは、日本経済にとって大変喜ばしいことと思いますが、日本人駐在員はますます節約に迫られており、中国内の倹約令(※)を一番遵守しなければならないのは我々なのかもしれません。
 
※ 「倹約令」・・・習近平政権による公費や接待による贅沢な飲み食い、浪費等を取り締まる法令
  
 ○ 終わりに~食生活を見直してみては!?
 前述のように、食事や買い物等で日本と同水準の生活をしようとすると、日本に住んでいるとき以上にお金がかかってしまうことがあります。特に食事については、衛生面等を考慮すると日本人経営の和食店やレストラン等を多く利用することになりますが、その分費用も多くかかります。
 そこで、最後に中国駐在ならではの安くて美味しいローカル中国料理をいくつか紹介したいと思います。中国生活で日本人駐在員が特にお金をかけるものとして食事が挙げられますが、一方で一番節約できるものが食事であるとも言えます。「物価上昇」「人民元高」をマイナスに捉えるのではなく、この機会に節約を心がけ、ローカル料理に触れてみるチャンスと捉えてみては如何でしょうか。
 
(1)麻辣湯(マーラータン) 1201-4.jpg
四川省料理の一つで、野菜や海鮮、肉、油揚げ、豆腐等様々な食材を唐辛子がたっぷり入ったスープで煮込んで食べる料理です。上海市内でもあらゆる場所で食べられる人気の麺料理で、価格は10~20元程度と手軽に食べられます。但し、名前にもある「麻辣」を多く入れすぎると辛すぎて舌が痺れてしまうので注意して下さい。
 
(2)生煎(ションジエン) 1201-5.jpg
 上海料理の一つで、挽き肉や野菜を混ぜた具を小麦粉の皮で包んで包子を鉄板で蒸し焼きにした点心料理です。日本の肉まんよりも小ぶりですが、外側はカリッとした食感で、中には熱々の肉汁が溢れ出て、独特の風味が味わえる上海お勧めの一品です。値段も4個で5元前後とお買い得で、朝食としても親しまれています。
 
(3)粢飯(ズーファン) 1201-6.jpg
  上海料理の一つで、もち米の中に油条(ヨウティヤオ、小麦粉で作った生地をきつね色に揚げた揚げパン)を混ぜた料理で、もち米と油条のうまさが絶妙にマッチしています。値段は3元前後とこちらも生煎と同じく、朝食としてサラリーマンに人気があります。
 
 
 
以上
上海駐在 小林邦寛
 
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