上海駐在レポート

第 41 回 「中国の食文化」
第 41 回 「中国の食文化」
中華料理といわれて頭に思い浮かぶものは何でしょうか?日本人がまず思い浮かべるとしたらラーメンや餃子ではないでしょうか。しかし、中国にある料理店ではいわゆる日本式のラーメンや餃子はあまり目にしません。あるとしても日系のレストランです。特に餃子については、「焼き餃子」ではなく、「茹でた水餃子」が主流となっています。
このように中国では日本と異なる食文化があり、また、地域によっても様々な伝統料理が存在します。今月のレポートでは、伝統的な中国料理や宴席でのマナー等について紹介させて頂きます。
 
◎ 中国四大料理
     
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〈左上から、北京ダック、ワンタンスープ、
麻婆豆腐、上海蟹〉
よく中華料理と中国料理というのを耳にすることがありますが、中華料理は日本人向けに味付けされた料理を指し、中国料理とは中国本来の料理を指します。そして中国料理にはその地域特有の様々な料理が存在します。その中でも今回は日本人にもよく知られた、「北京料理」「広東料理」「四川料理」「上海料理」を紹介致します。
① 北京料理
北京は中国の北東に位置し寒冷である為、北京料理には比較的カロリーの高い料理が多く、味付けは長ネギ、生姜、ニンニク等の香りを活かした塩味が特徴的です。代表的な料理には日本でも有名な北京ダックや羊肉のしゃぶしゃぶ等がありますが、小麦粉を使った饅頭や包子もよく食べられています。
② 広東料理
「食は広州にあり」と言われるほど、材料はフカヒレ、ツバメの巣等バラエティに富み、料理の種類も多いのが広東料理の特色です。素材の味を活かしたあっさりとした味付けが特徴で、日本人の口にもよく合います。飲茶(ヤムチャ)やワンタンが代表的な料理として挙げられ、料理名が日本でそのまま使われているほど、広東料理は日本でも広く浸透しています。
③ 四川料理
四川料理には「麻辣(マーラー)」という言葉があり、「麻」は痺れる山椒の味、「辣」は唐辛子の辛い味を意味し、油を大量に使った脂っこい味付けが特徴です。麻婆豆腐や回鍋肉が代表的な料理ですが、他にも激辛スープで内臓を中心にした具材を煮込む麻辣火鍋も有名です。日本にある麻婆豆腐等は辛さを抑えて作っていますが、本場の味は唐辛子や山椒を大量に使った激辛な味付けであり、多くの人が汗を流しながら食事を取ります。
④ 上海料理
上海料理は元々、揚子江沿岸の蘇州や杭州等の江南地方の料理が上海で洗練されて出来上がったもので、魚介類や米を主食とした料理が多くあります。醤油や甘味を使い、味が濃厚であるのが特徴的で、代表的な料理には上海蟹、小龍包、紅焼肉があります。揚子江沿岸などで養殖が盛んな上海蟹は海の蟹と比べると小さいため、脚の肉等は食べにくく量も少ないですが、甲羅の中の蟹味噌の味は濃厚でやみつきになる人も多くいます。
 
 
◎ 宴席でのマナー
中国ではビジネス上のコミュニケーションとして、取引先との食事の機会がしばしばあります。小職も何度か中国の方との宴席に同席させて頂いたことがありますが、中国の宴席での習慣やマナーには驚かされることばかりです。ここでは日本とは異なる宴席での習慣やマナーについてご紹介致します。
① お酒の飲み方
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〈宴席での乾杯はやはり白酒・・・〉
中国料理店は一般的に円卓です。その為、全員で乾杯をする場合、テーブルの中央でグラスを交わすのではなく、円卓の上にあるターンテーブルの部分にグラスの下をコンコンと当てて乾杯をします。そして乾杯の際には文字通り、「杯を干す」ということでグラスを飲み干さなければなりません。飲み終わった後にはグラスを逆さまにして、全員に見せるという習慣があります。これは中国の古い習慣で「お酒には毒は入っていません。安心して食事を楽しみましょう」というメッセージがあるようです。その後は宴席中、何度も乾杯を迫ってきますので、お酒の弱い方は最初に「ソフトドリンクを飲む」「半分しか飲まない」などと意志をはっきりと伝えておく必要があります。
中国のお酒はビール、ワイン、紹興酒、白酒とありますが、特に白酒はアルコール度数が40~70度の蒸留酒で、大量に飲むと急性アルコール中毒を引き起こしかねません。
言葉の通じない相手とのコミュニケーションの一つとして「お酒」は重要なツールであると思われますが、中国の方との宴席には相当な覚悟を持って臨む必要があります。
② 料理の食べ方
料理を食べ始めて注意をしなければならないことが一つあります。それは、その料理がどんなに美味しくても、全部食べきらないことです。全部食べるのは料理が足りなかったことを意味し、中国人のホストはさらに追加で注文をしてしまいます。習近平政権から発令された倹約令により、過剰な接客も落着きつつあるようですが、宴席では食べ切れないほどの料理を出すことを礼儀とする中国人の気質は今でも根強く残っています。日本では残さず食べることをマナーとして教わる人も多く、出てくる料理を素直に完食する人も少なくありません。残すことを良しとする中国の習慣に慣れていない赴任したての駐在員からは、よく「太った」という声が聞かれます。
「郷に入っては郷に従え」という諺がありますが、元来、中国の「入郷隋浴」という言葉が由来となっています。小職自身、駐在後半年が経ちましたが、今一度、この諺の起源となった中国の地で実践していかなければならないと感じています。
 
◎ 終わりに
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〈端午節に食される粽〉
これまで述べてきた以外にも、中国では祝祭日などに特有の食習慣があります。例えば、春節(旧暦の正月)には北方では水餃子、南方では餅を食し、中秋節(旧暦の8月15日)には月餅といわれる饅頭を食すといった食文化が存在します。
先日、端午節(旧暦の5月5日、今年は6月2日)には当地では粽(ちまき)を食す習慣があり、小職も同僚に粽を頂きました。ナツメや小豆がぎっしり入った甘い粽は中国独特の味で、一つ食べただけでもお腹一杯になるほどです。
このように中国では各地域伝統の料理や食習慣、マナーがあります。小職が駐在する上海では各地の料理を食べることができますが、出来ることなら自分の目で全国各地を回り、各地域の食文化を体験したいものです。
 
 
 
(1元≒16.5円)
以上
上海駐在 小林邦寛
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