上海駐在レポート

第 95 回「上海市生活ごみ管理条例」
    上海市では2019年7月よりごみの分別回収が義務化され、1か月過ぎた今でもニュースでよく話題に上がるほどです。その理由はどこにあるのでしょうか。今回は、その内容と現状をレポートします。

◇ごみ管理条例とは?
    2019年1月の上海市人民代表大会で「上海市生活ごみ管理条例」が可決され、2019年7月より施行されました。
    (条文:http://www.spcsc.sh.cn/n1939/n1944/n1946/n2029/u1ai185433_K401.html)

    まずごみの分別ですが、①回収可能ごみ(瓶・電化製品、衣類等)、②湿ったごみ(野菜、魚、肉等)、③乾燥ごみ(貝殻、ティッシュペーパー、陶器等)、④有害ごみ(電池、薬品等)の4種類に分別されます。この分別したごみを住宅団地・商業施設・オフィスビル・学校等に設置されたごみ収集容器に捨てます。
    罰金規定もあり、個人が分別を行わずにごみを捨てた場合は50~200元(約750~3,000円)、事業者がごみを分別せずに投棄・運搬した場合は5,000~50,000元(約75,000~750,000円)の罰金が科されます。
    (「上海市生活ごみ管理条例」行政処罰裁量基準/
http://service.shanghai.gov.cn/XingZhengWenDangKu/XZGFDetails.aspx?docid=REPORT_NDOC_004691 )

◇住宅団地のごみ集積所
    条例では、生活ごみを「決まった時間帯に決まった集積所に出す制度」を広めて実行させると規定しています。住宅団地内では、一般的に午前と午後の2つの時間帯(各約2時間ずつ)に捨てられるようになっており、集積所の前にはボランティアの方がいて市民に分別を指導しています。


◇複雑なごみ分別ルール・・・
    4種類の分別となっていますが、その分別方法は非常に分かりづらいです。例えば、使用済みのおむつは水分を含んでいるのに「乾燥ごみ」に分類され、ひまわりの種などの乾いた種は「湿ったごみ」に分類されます。このような複雑なルールに多くの市民が頭を悩ませています。
    そんな市民の悩みを解決するため、アリババ系のモバイル決済サービス「支付宝(アリペイ)」は、ごみ分別ナビゲーション機能を追加しました。これは、スマートフォンのカメラをかざすだけで瞬時にごみを識別し、分別方法を案内してくれるものです。また「回収可能ごみ」の収集代行サービスを予約することもできます。

◇気になる罰金件数
    上海市城管執法局の発表によると、開始初月である7月の1ヵ月間に計8,655件の「是正勧告」と計872件の「処罰書(罰金有)」を発行しているそうです。下記グラフに、計872件の処罰者の内訳と理由、また7月1ヵ月間の事業者別問題発生率を記載しました。

(出典:上海市城管執法局)


    処罰者は事業者が多く、また事業者別でみると商業施設・オフィスビルの問題発生率が高い数値となっています。

◇最後に
    実際に処罰された例もあり、厳格なごみ分別を実施している上海市。ごみ管理条例が施行されてから、僅かながらもビジネスに影響が出ている例もあるのではないかと思います。例えば、コロナビールにはレモンを入れて飲むことが多いと思いますが、この瓶とレモンは別のごみ分類。細い瓶からレモンを取り出すことは難しいようです。よって今まで8等分にしていたレモンを、16等分にして対応するという話も聞きました。このようにごみ管理条例を理由に何かを諦めるのではなく、機転を利かせた工夫が大事になり、ごみ管理条例施行がビジネスチャンスとなる例も出てくるかもしれませんね。

以上
(1元=15円)
上海駐在 佐藤



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