上海駐在レポート

第 93 回「果物事情」

   2019年5月23日、経済日報のネットサイトである中国経済網に「なぜ日本1.jpgの果物はあんなにも高いのか」と言うコラム記事が掲載されていました。筆者はここ深センに来てから果物を食べる機会がとても増えたように感じます。確かにスーパーで売られている果物は日本に比べ安いように感じます。深センでは街の至る所に果物専門店があり、帰宅時間になると路上で果物を売る行商の人を目にする等、果物は身近な存在です。今回は中国華南地方に位置する深センの種類豊富な果物についてレポートしたいと思います。

 

 

〇豊富な果物

   深セン市内のスーパーに行くと種類豊富な果物が販売フロアの中央に位置している事が多いです。売られている果物は、柑橘類、リンゴ、桃、ブドウ、スイカ、メロン、イチゴ、チェリー、マンゴー等々、日本でもよく目にする果物が置かれています。他にも日本ではあまり目にしない果物の王様と言われるドリアンや果物の女王マンゴスチン、ドラゴンフルーツと南国特有の果物が山のように置かれて販売されています。その他にもリュウガンという見た事のない果物があったりと果物好きの筆者は見ているだけで楽しくなります。

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   販売の仕方は殆どが「斤(ジン)」という500グラム単位での価格で販売されています。山のよ うに置かれている果物を自分で選び、近くの計量器で測り、値札シールを貼る仕組みとなっていま す。日本のように個別包装され、値札シールが最初から貼ってある物もありますが、スイカをポン ポンと叩いて音を確認したり、念入りにリンゴを眺めたりと目利きをしている人が多いように感じ ます。スーパー側も果物売り場に力を入れているようで、試食コーナーを各果物毎に設置し、通り 掛かる人々に声を掛け、試食を促します。夕方の果物コーナーは試食する人や果物を目利きしてい る人で溢れています。

 

〇安価な果物
   上記のコラム記事には、「日本ではスイカ1玉100元(約1,560円)、メロン1玉73元(約1,138
円)もする。」と書かれていました。実際にどの程度価格差があるのか調べてみました。中国都心部でアリババグループが展開するスーパー「盒马新鲜(フーマーシンシエン)」を例にしたいと思います。この「盒马新鲜(フーマーシンシエン」は実店舗ももちろんですが、その特徴は3㎞30分以内デリバリーを銘打っており、アプリで注文すると30以内に指定場所に届けてくれるというサービスが人気になっています。この「盒马新鲜(フーマーシンシエン)」と日本大手ネットスーパーで比較してみようと思います。特に値段差が顕著だと言われているスイカでは、一般的な小玉スイカが日本で税抜き1,580円(2㎏前後)であるのに対し、中国では39.9元(約622円/3㎏)となっています。地方や品質によって値段もそれぞれではありますが、安い所ではスイカ1玉10元(約156円)以下で購入する事も出来ます。その他の果物についてもスイカ程ではないですが、日本の半額程度で購入する事ができます。

 

〇日本と中国果物事情の違い
   上記中国経済網のコラム記事には、日本3.jpgではなぜ果物が貴重なのかに言及してい  ました。理由として、価格支持制度と人件 費の違い、果物のブランド化が挙げられて います。農産物価格の低下を防ぐ為の政策 である農産物価格支持制度については、詳 細内容は違うものの中国においても2004年に制度運用が開始されています。

  人件費の面で見ると2018年の日本の平均可処分所得が455,125円、中国都市部の可処分所得は39,251元(約620,165円)と日本の平均可処分所得を上回っています。しかし、農村部の可処分所得は都市部のおよそ3分の1の14,617元(約228,025円)と人件費の違いが価格に表れています。

  中国の物価は未だ日本に追いついてはいないものの、主要都市の物価水準は上昇の一途を辿っており、都市部での生活は安く感じないというのが実情です。今や主要都市の一つとして数えられる深センも同様です。世界中に店舗が存在するマクドナルドの価格では日本のハンバーガーが1個100円に対し中国では1個9元(約140円)。中国各地にもあるスターバックスでは日本のトールラテ1杯380円に対し1杯27元(約421円)と中国で飲むラテの方が高価な飲み物となっています。
果物のブランド化については、中国には各果物の有名な産地は存在しますが、ブランド品と言う程の価格差は存在せず、高級な果物というのは日本産のリンゴ等が高級スーパーにある程度です。果物が高級品というイメージは中国にはなく、誰もが気軽にいつでも食べる事が出来る身近な存在なのです。

 

○終わりに

 ここ深センでは街路樹にマンゴーが植えられており、現在、筆者の居所周辺のマンゴーは食べ頃を迎えています。夜間に自家製の網を手に持った人々がマンゴーを取っている姿は深センでは恒例の光景なのだと言います。職場の中国人スタッフ達は休憩時間にお菓子の代わりに果物を食べる等、生活に欠かせない程身近な存在なのだと実感出来ます。まだ筆者も食べた事のない果物が沢山あるので、駐在期間中に食べ得る限り食べたいと思っています。中国にお越しの際は是非、中国各地の果物を味わってみるのも良いのではないでしょうか。

(1元≒15.6円)
以上
深セン駐在

 

 

 

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