上海駐在レポート

第 92 回「中国のゲーム事情」
先日、広東省広州市で開かれたAsia Amusement &3.jpgamp;Attractions Expo 2019(以下AAA)を視察してきました。AAAは中国のアミューズメント施設向け企業の展示会であり、参加企業は850社にも及ぶ大規模な展示会です。ゲームセンターのアーケード機からカラオケ店の内装まであらゆるアミューズメント設備の展示がされています。主にゲームセンターのアーケード機の展示会である事から日本からも多くの企業が視察に来場していました。2019年4月19日に任天堂が家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売を中国ネットサービス大手テンセントと協業すると言う記事が出たこともあり、今回は中国におけるゲームセンターを含めたゲーム事情についてレポートしたいと思います。
 
 
 
 
 ○中国ゲーム市場
 (1)中国ゲーム市場概要
 中国では電車やカフェ、屋外でもスマートフォンを見ている人がとても多いです。日本でも通勤電車に乗るとゲームや動画、ニュース記事を見ている人が多いように感じましたが、深センでは、若年層が多いからかゲーム をしている人の割合が多いと感じます。

 

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 また、日本ではスマートフォンが普及した現在でも家庭用ゲーム機が人気ですが、中国では家庭用ゲーム機はほとんど普及していないというのが現状です。オランダの市場調査会社である「Newzoo」の調査によると2016年時点で日本ゲーム市場の約38%(47億ドル:5,137億円)を占めているのに対し、中国ゲーム市場では2%(5億ドル:546億円)に留まっています。中国での家庭用ゲーム機の普及率の低さは、2000年から2014年まで中国国外で作られた家庭用ゲーム機の販売が禁止されていたことによるものであり、これから徐々に普及していくものと予想されていますが、未だ規制が多く、各企業が模索している段階にあります。 

 (2)中国スマートフォンゲーム市場
近年まで中国のゲームと言えばパソコンのゲームでしたが、2010年代に入りスマートフォンの普及と共に急速にスマートフォンゲーム市場が成長しています。具体的には2014年45億ドル(4,918億円)であった市場規模は2017年には3.9倍の176億ドル(1兆9,564億円)にまで伸びました。
 この背景にはスマートフォンユーザーの中核である90年代生まれの「90后(ジゥーリンホウ)」と呼ばれる世代の存在があり、彼らはインターネットやゲームなどとの親和性が高く、趣味にお金を費やすこの世代が、現在の中国ゲーム市場に深く影響していると言われています。
    しかし、若者のゲーム依存や過度な消費が社会問題となり、2018年春頃に新規ゲームの審査が事実上凍結される等(2018年12月解除)、市場の成長速度は大きく減速しています。
 
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○中国ゲームセンター事情
 ゲームを含むコンテンツ産業に厳しいと言われる中国ですが、若者が集まる街や多くのショッピングモール内にはゲームセンターがあり、一見、日本のゲームセンターと大差はありません。実際に目にした違いといえば、例えば日本ではコインゲームをやると出てくるのはコインですが、中国では切符の様な紙が出て くる仕組みで、この紙を専用の機械に読み込ませる事で景品と引き換える事が出来ます。何故紙なのかについては、コインで出てくる仕組みにしてしまうとカジノ行為と見做されてしまうからとの理由でした。
 また、先日AAAを視察した際の話では、中国では未だゲーム開発についてのノウハウが培われておらず、既に諸外国で安定的な収益が見込める流行のゲームを中国仕様にローカライズしたゲームが多いそうです。
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○終わりに
 筆者は「90后」ではありませんが、子供の頃は友人や兄弟と家庭用ゲームをやり、社会人になった今でもスマートフォンゲームで同僚と楽しむ事もあります。昨今では、中国発のゲームが日本でも盛り上がりを見せるなど、中国ゲーム市場は今後更なる発展を遂げるとの期待も高まっています。日本のゲーム製作企業も中国進出を画策している中、今後急成長を遂げた中国ゲーム市場がどのように展開していくのか、注視していきたいと思います。
(1ドル=109.3円)
(1元=15.8円)
 
以上
深セン駐在 吉田

 

 

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