みなさまはじめまして、4月より深センに赴任しました吉田です。2018年春頃から本格化した中米貿易摩擦から多くの日本メディアで取り上げられる事で、多くの方が深センという都市を知ったのではないでしょうか。「HUAWEI」、「テンセント」、「DJI」、「ZTE」と言った中国を代表する企業を擁し、中国のシリコンバレー（紅いシリコンバレー）と呼ばれる深センについて皆さんに有益な情報を提供出来ればと考えております。
本レポートではメディア等で見ただけでは無く、筆者が初めて深センに来て感じたことを筆者の体験を踏まえてご紹介したいと思います。
○深センとは
深センは中国華南地域、広東省に位置しています。南は香港と接し1980年に中国初の経済特区に指定され、加工貿易を中心とする製造業が発達した都市です。面積は1,996.85㎢、東京都（2,188 km²）とほぼ同じであり、人口は約1,400万人。2017年のGDP成長率は8.8％と、中国全体の6.9％と比較し高い水準を維持しており、中国経済を牽引している都市でもあります。
○電子決済について
まず筆者が中国に於いて最も印象に残ったのは、電子決済です。筆者も深センへ赴任する前、日本でも「支付宝（AliPay）」や「微信支付(WeChatPay)」の文字は目にした事もあり、中国では電子決済が大変普及している事は認識していました。2018年頃から日本に於いてもスマートフォンを利用した電子決済が大きく取り上げられた事は記憶に新しいと思われます。 中国全土でスマートフォン保有者の約7割（2019年2月中国インターネット発展状況統計報告調査より）が電子決済を使用しており、大多数はアリババ（阿里巴巴）が提供する「支付宝」とテンセントが提供する「微信支付」を利用しています。
実際に深センで生活してみると現金で生活している人は見かけません。レストランはもちろん、タクシー、携帯電話とあらゆる決済が電子決済で行われています。その為、小規模な飲食店等では釣銭を用意していない場合が多く、旅行者や出張者には不便な印象を受ける事もあるかもしれません。
○住民について
次に、深センの街を歩いてみると若者が多い事に気付きます。深セン市の平均年齢は32歳と東京の平均年齢42歳（東京都HPより）を比較すると街中が若者で溢れている事が分かるのではないでしょうか。この若者たちが中国南方各地から出稼ぎに来ることで深センという都市は構成されています。
深セン市の2017年の増加人口は61.99万人と2019年東京都人口増加数10.33万人と6倍という速度で人口が増加している事になります。
彼らの大多数は、ここ深センで稼ぎ、家を買い、結婚し、子供を教育する為に深センに来ています。同僚の中国人スタッフと食事に行っても不動産価格を酒の肴にして楽しんでいる様子がいつも繰り広げられており、彼らは皆口を揃えて先に住宅を購入しなければ結婚出来ないのだと言います。
○開発について
他にも深センの街を歩いていて気付くのは、至る所で街の道路工事やビルの建築工事をやっている事です。上記で述べたように人口は年々増加し、人口の流入に合わせるように都市の開発も進んでいます。2017年の住宅施工㎡は7,560万㎡と東京都の952万㎡と比較すると7.9倍となっており、政府より今後、香港やマカオ等と面する湾岸地域の更なる開発を進めていくとの発表が既に成されており、当面人口の流入は変わらず続くものと考えられます。
経済特区として指定され最初に発展した地域にはビルが並び建ち、つい数年前まで工場や資材置き場であった地域に高層マンションが並び建つ様子は都市が広がっている事を実感させます。
筆者の同僚である中国人スタッフは皆マンションを購入したいと言います。内陸部で生まれ育ち、深センで働いています。マンションを購入する事で深セン市の戸籍を取得し、更に不動産価格が上昇することを狙っているのだそうです。
○終わりに
筆者は2019年4月1日から深センで生活を始めました。未だ全てが見新しく、人々の若さと街の活気に日々驚く毎日です。深センに住み、現地の人々と交流する事で得た「気付き」を皆様にお伝えしたいと思います。また、政府が掲げる「大湾区構想」等、中国の中でも著しい成長を続けるであろう深セン、華南地区についての情報も併せてお伝え出来ればと考えています。
