先日、香港へ出張に行く機会があり「オフィス賃料が世界一高い」と言われている香港の不動産を見てきましたので、香港の概要と合わせてレポートします。
◇香港の概要
香港は、中国の東南端に位置し、香港島・九龍半島・新界(262個の離島を含む)で構成され、面積は1,104.4㎢。全体的に丘陵地形で、1割ほどの平地に都市が形成されています。
2017年の人口は739万1,700人(前年比+0.8%)。うち0~14歳人口は11.4%、15~64歳人口は72.1%、65歳以上人口は16.5%(日本は28.5%)。月平均所得の中央値は15,500HKD(≒224,750円)、失業率は3.1%となっています。
また亜熱帯気候に属しており、8月の平均気温は29.0度、2月の平均気温は17.0度。平均湿度は78%で一年を通して湿気が多い点が特徴です。(2018年香港統計年刊)。
◇世界からみた香港オフィスの賃貸価格
2018年CBRE(世界最大の不動産サービス会社)発表によるオフィス賃貸コスト世界ランキングによると、1位は香港の中環地区で年間総賃貸コストは1平方フィート((呎)=0.0929㎡)当たり307米ドル、2位はロンドンのウエストエンド、3位は北京の金融街となっております。ちなみに東京の丸の内は8位で、171.49米ドル。東京と比較すると、香港のオフィス賃料がいかに高いかがお分かり頂けると思います。
このように香港のオフィス賃料が「世界一高い」と言われている理由は、上述した特殊な地形であるために新規供給できる土地が少なく不動産の希少性が高い一方、アジアの金融センターとしての地位が高く、需要が旺盛となっているためです。
◇エリア別オフィス賃料について
香港は、エリア毎のオフィス賃料格差がはっきりしています。最も賃料の高い中環(セントラル)は、行政機関や金融機関が集まる中心地で、この場所にオフィスを構えていることがステータスであり、「ブランドの宣伝」となっています。また中環地区の開発余地はほぼ皆無なため、大型オフィス等の開発地域は、対岸の九龍地区周辺に多くなっています。なお、ここ2年ほどの中環地区のオフィス賃料の上昇により、大手企業においても中環地区から九龍地区へオフィスを移す動きが目立っています。
|
◇居住用住宅について
オフィス賃料だけではなく、居住用住宅も世界トップレベルの賃料となっています。
上記表をみると、2017年の香港島における契約平均賃料は、40-69.9㎡の物件で403HKD/㎡の水準にあり、仮に40㎡の住宅とした場合、日本円に換算すると月額約233,740円(403HKD/㎡×40㎡×@14.5円)と高額であることがわかります。
香港島には「中半山/ミッドレベル」という、商業地である中環まで車で約15分のところに位置する高級住宅街があります。今回は、このミッドレベルの中でも特に高台のエリアにある高級マンション「帝景園」まで行ってきました。湾仔付近から歩いて向かったのですが、急傾斜で高台なため階段や坂が多く、普段の日常生活において徒歩で街まで出るのは厳しいと感じました。
売出情報 |
|
賃貸記録(2018/11/30) |
||
価格 |
1.28億香港ドル (≒18.56億円) |
|
月額賃料 |
121千香港ドル (≒1,754千円) |
有効面積 |
2,141呎(≒198.9㎡) |
|
有効面積 |
1,806呎(≒167.8㎡) |
築年数 |
27年 |
|
|
|
間取 |
4部屋 |
|
|
|
※北向、海が見える |
|
|
(※中原地産HPより)
また当マンションの売出情報、賃貸記録をみると、売出価格は東京の約2~3倍、賃料単価は、東京の約1.5~2倍となっています。このことより、香港の住居用不動産は、東京と比較し低利回りであることもわかります。
◇最後に
日本から香港までは飛行機で約4~5時間と近く、週末に気軽に行くこともでき、100万ドルの夜景でお馴染みの人気観光地です。旅行に行かれる際は、不動産価格のことも少し頭に入れて街を歩いてみてはいかがでしょうか?香港は古い街並みも残っており、「この周辺の不動産価格は、東京の2~3倍するんだ!」と少し驚かれることと思います。
※地図・図出典:「2018年香港統計年刊」
1HKD=14.5円にて換算
以上
上海駐在 佐藤